Motley Crue - Theatre of Pain (1985):
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LAメタルブームに慌てて便乗したモトリー・クルーは、後からシーンを見るとそんな感じがするバンド。ファースト「華麗なる激情」やセカンド「シャウト・アット・ザ・デヴィル」は革ジャンにレザーパンツで鋲付きのSMチックなジューダス・プリ-ストを模倣するヘヴィメタルに身を投じたが、シーンが煌びやかでグラマラスな方向にあると、その瞬間からモトリー・クルーはお化粧グラムメタルファッションへ移行した。
そんな時代のアルバムで最も評価の低いアルバム「Theatre of Pain」は1985年にリリースされたモトリー・クルーの三枚目で評価が低いと云ってもシングル「Smokin' In The Boys Room」はMTVヒットチャートを席巻し、間違いなくLAメタルと80'sのど真ん中を歩んだビデオ楽曲。もうひとつはモトリー・クルーの意外な一面を露わにしたバラードの名曲「Home Sweet Home」で、ドラマーがピアノを弾いてベーシストがバンドで一番目立つ図式と地味なギタリストと、この時代誰も彼もがギターヒーローに憧れていたのに、ミック・マーズになりたいヤツは一人もいなかったくらい。モトリー・クルーがケバケババンドに進んだのもハノイ・ロックスの影響も大きく、何かと因縁の図式が離れないハノイ・ロックスとモトリー・クルーの関係は、ご存じボーカルのヴィンス・ニールが酒酔い運転でハノイ・ロックスのドラマー、ラズルを助手席に乗せてビールを買いに行った所で激突してラズルは即死。ヴィンス・ニールは大した怪我なしでビール片手に「No problem」と突っ立っていた出来事。
そんな事件のあった後のアルバムが「シアター・オブ・ペイン」で、モトリー・クルーも音楽的にどこに進むか不明瞭さはあったものの、とりあえず70年代大物バンドだったエアロスミスをモチーフにケバい衣装とブルースに根ざしたサウンドメイキングを中心にしている。結果はあまり良作が残っていないアルバムだが、圧倒的に「Home Sweet Home」だけが浮いているようで、ン十年ぶりに久々にアルバム「シアター・オブ・ペイン」を通して聴いたけど、時代を感じてしまうアルバムだった。まだ音楽性が確立されていないし、パーティロックンロールも確立されていないが、そういう作品があって次の「ガールズ、ガールズ、ガールズ」で一気にヒートしてバッドボーイロックをキメているから非常に重要な凡作。

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