Scorpions - In Trance (1975):
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ドイツが世界に放つ最高のヘヴィーメタルバンド、スコーピオンズ。来歴はかなり古く、1971年にファーストアルバム「Lonesome Crow」がリリースされているが、この時のギタリストはマイケル・シェンカーとルドルフ・シェンカーで、以降マイケル・シェンカーは英国のUFOに勧誘されて10代後半から世界的なギタリストとして有名になるが、その時にマイケル推薦だったギタリストがウルリッヒ・ロート。そこからスコーピオンズの第一次黄金時代が始まる。
ウリが在籍した中の傑作は1976年リリースの「In Trance」か翌1977年リリースの「Virgin Killer」だが、どちらも捨て難い魅力を放っているけど、「In Trance」の方が暗い。ここのウリは冒頭のカッコ良い「Dark Lady」からスペイシーなジミヘンを彷彿とさせる音世界を紡ぎ出していて、自分でジミヘンもどきに歌っている曲まで収録している快挙と、素晴らしきボーカリスト、クラウス・マイネを差し置いてまで出張ってくる必要があったのか、このためにアルバム全体の評価が些か下がっている事は否めない。しかし、それを補って余りある楽曲群の素晴らしさは特筆に値する。
「Dark Lady」のインパクトが大きいが、時代的なモノも含めてレインボウを彷彿するのは反則だろうか。アルバムタイトル曲「In Trance」は後年のスコーピオンズ時代まで含めて実にスコピらしい曲で、美しさからハードさ、その繊細さにマイナーな曲調と歌のモノ悲しさが実に日本人魂をくすぐる傑作で、ギターソロもかなり「クサい」のでぴったりとハマる。「Top of The Bill」の意外な歌メロも新鮮で個性を出しているし、「Robot Man」のカチャカチャと鳴るロボットらしさを出したギターカッティングもアイディアは面白く、ビート感も好みだけど、この辺になるとドイツかはどうでも良くて、純粋に先進的なハードロックバンドのアルバムで楽しくなる。「Longing For Fire」もマイナーなメロディとベースラインの豊かさが良くて、美しいギターソロが被ってくる絡みも見事で、次作「Virgin Killer」で更に才能を開花させていくウリ時代のスコーピオンズだけど、まずはコイツでドイツのハードロックの美しさと暗さを定義して後のHR/HM界の序章とした作品。

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