Henry Cow - Unrest

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 70年代末、英国ではパンクムーヴメントが勃発し、更にニューウェイヴと呼ばれる波が到来してきたころ、かつてから活動していたバンドの影がどんどん薄くなっていった。しかし時代の流れとは全く絡まないところで活動していたバンドにとってはそれこそ何処吹く風、と言わんばかりに傑作を密かにリリースしていたりする。アヴァンギャルドな音世界にとってはそれは日常のことでもあり特段意識するようなことでもなかっただろうが刺激にはなっていたんだろう。しかし古くから同じような音楽手法を採り入れていたバンドは存在しているモノで、その中のひとつにヘンリー・カウというバンドがある。

Unrest In Praise of Learning Leg End

 あのヴァージンからのリリースで、当時から前衛的と呼ばれていたハズ。ヴァージンレコードってのはえらくニッチなサウンドを奏でるバンドを発掘してリリースしていったレーベルだし、そもそもマイク・オールドフィールドの「Tubular Bells」だって売れたのが不思議なくらいのサウンドだしね。ま、そんなことでヘンリー・カウのアルバムデビューは1973年。活動歴は1978年頃までじゃないかな、多分。人脈的なところが結構複雑で、ドイツ人ボーカルのダグマー・クラウゼで有名なスラップ・ハッピーと混合編成のバンド形態になることもあって、また音楽的にもかなり近似していたところもあるので両者を切り分けるのは難しい時代もある。共作でリリースしているアルバムもあるし、ライブではお互い入り乱れていたみたいだし、なんかよくわかんない世界。

 で、このヘンリー・カウ、今じゃいくつも発掘アルバムが出てるけどシンプルに一作目から三作目までは靴下ジャケット。並べてみるとなかなか面白かったりするのでついつい音はともかく集めたくなるものだった。その中でも一番傑作なのはセカンドの「Unrest」かなぁ。うん。でも、やっぱり相当アヴァンギャルドな音なので一般的にオススメするものではない、と思う。This HeatやPop Groupなんかとは違ってもっと温かみのあるコミカルな、そして不思議感と浮遊感のあるカンタベリー系独特の雰囲気は持っている感じのアヴァンギャルド。プログレって言われる延長線上に位置してはいるんだけどこの発展性は面白い。認識によるんだろうけど後に出てくるノイズ・アヴァンギャルド系のサウンドの走りでもある元祖じゃないかとも言える。しかし、まぁ、それらとは大きく異なってるのは使われる楽器の数々。ちょっと聴いているだけでもピアノやサックスやその他もろもろの音が聞こえてくるんだけど、やっぱりヴァイオリン、オーボエなんてのも使われているんだね。で、重要なのはリンゼイ・クーパーフレッド・フリスっつう奇才がいるってことだ。この人達って確かソロ作でも出していると思ったけどもう、現代音楽フリージャズの境目あたりの筆頭でね、よくわかんないけど奇人だよ、聴いてると。

 そんなヘンリー・カウの作品、ジャケも良いがライブも凄い。白熱っつうのとはちょっと違う、もっとクールな、という方が良いかな。リフレインに乗せたミニマルミュージック的志向を持つやっぱりカンタベリーの血が入っている浮遊感はよろしい。

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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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Oimizu  
TBありがとうございました

靴下三部作良いですよね。
今朝、目覚めたとき、頭の中でなにやらピアノのフレーズが流れていました。暫くなんの曲かわからなかったのですが、Ruinsのエンディングのところでした・・・

2007/06/23 (Sat) 15:41 | EDIT | REPLY |   
papini  

靴下、大好き♪
やっぱり「RUINS」!
ホントね、この曲ってすごいよ、うん。
この音盤、初めて聴いたとき、17,8ぐらいだったけど
ガキンチョでも「すげぇ!」って思ったもん。

2007/06/26 (Tue) 00:17 | EDIT | REPLY |   
jamken  
実は初めて

このアルバムをやっと聞くことができました
今散歩しながら Web を検索してこのブログにたどり着き懐かしいなと思いコメントしてみました
この辺りのサウンドは私の畑でもあるのにこんな有名版を聞いていないとは恥ずかしい
おそらくこれを聴きながら延々と散歩ということになるでしょう

2022/10/23 (Sun) 07:47 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>jamkenさん

古いコンテンツでも残しておくと何かと役に立つので思い出して頂き感謝です。
散歩しながらにはちょっと向かない時も多そうですが、ハマると距離忘れそうですね(笑)。

2022/10/31 (Mon) 22:19 | EDIT | REPLY |   

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