Uncle Dog - Old Hat (1972):
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英国のジャニス・ジョプリンと異名を取った女性の歌姫はもう一人いた。キャロル・グライムズで、聴けば一発でなるほどだけど、ちょっと過大解釈しすぎているか。それは彼女の経歴を漁っていると、とてもジャニス・ジョプリンの世界とは近くないのが分かるから。それでも聴くと確かにホンモノのソウルフルでブルースな歌声が事実だから良いでしょう。
1972年にリリースされたUncle Dogとしては恐らく唯一の作品、「Old Hat」。アチコチで紹介されているけど、その紹介のされ方もこれまたマチマチ。ひとつにはジャニス・ジョプリンの再来と呼ばれたキャロル・グライムスをフロントに配した土臭い香りのする英国産ロックだし、また別の言い方ではあのフリーのポール・コソフとラビットがゲスト参加し、幻の、そして誰が聴いてもコソフのそれと分かる泣きのギターソロが入っている英国スワンプロックの傑作とされている。また、スワンプ=パブロックのアルバムの傑作と呼ばれるケースもあるみたいで、結局そういう音です。だから非常に聴きやすいし、快活に聴けるのでキャロル・グライムズの歌声云々だけで引かなくても良いです。
中身はホントに乾いた土が吹き込んでくるようなスワンプで、非常に軽快な楽曲ばかり。キャロル・グライムズの特徴のある声質を巧く曲に当て込んでいるので楽曲の融合が見事。そこにA面ラストだった「We Got Time」という熱唱型バラードが入ってコソフのギターソロが熱く弾かれるから堪らない。この曲自体はR&B的な盛り上がりを見せる曲だけど、コソフのギターの凄さだ。それとキャロル・グライムズの魂から歌われている声が見事にマッチして素晴らしい空間を創り上げている。正に「Old Hat」アルバム内のひとつのクライマックスです。この一曲だけで聴く価値アリのアルバム。
個人的にはキャロル・グライムズはDeliveryの頃が好きで、カンタベリーとブルースの融合と思ってるけど、それでこのアルバムだからびっくりそのままだと思って驚いた。しかもコソフだし。アルバムはあまり好まないタイプのサウンドだけど歌声に参った。アナログ時代には見つけられなかったアイテムで、CDにも全然ならなくて聴くのに苦労したアルバムです。

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