Egg - The Polite Force (1971):

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 実験的音楽はカンタベリーシーンでも行われていて、ソフトマシーンやキャラバンの初期に代表されるようなサイケデリックさも挙げられるが、1968年のユリエルには後にゴングで有名になるスティーヴ・ヒレッジが在籍していた。今はアーザケルでも多少知名度があってもおかしくない。それはともかく、ユリエルにはあのデイヴ・スチュワートとモント・キャンベルが在籍してて、彼等はヒレッジの抜けたユリエルでは意味がないのでギターレスのバンドを再構築、それがエッグだ。

 1970年デビューアルバム「Egg」をリリース、音を聴くと実に不思議。今回はそのファーストよりもバンドのやりたい事が明確になったセカンドアルバム「優雅な軍隊」。1970年11月発表だからファーストと同じ年にリリースされた作品でバンドに勢いがあったと分かる。相変わらずクラシカルな楽曲を奏でてくれる。

 プログレッシブロックの変態、複雑かつ美しく淡々としたテクニックも申し分ない代物で、あまりにも高度すぎる音楽世界が広がる。これだからプログレは難しい。最初の一曲目だけ歌があって、変拍子だがまだ聴きやすい性格を持っているが、以降はもう恐ろしいまでの変拍子の組み合わせや、全くリズムの取れないサウンド。また3曲目は実験的で、その特異性はドイツのクラウトロック連中の実験性にヒケを取らないくらいのミニマル性を持った曲郡のクールな世界。4曲目からの組曲はもう変態的な楽曲でマジメに聴いたらとんでもなく複雑な世界に気付く。

 バンド編成が鍵盤、ドラム、ベース+その他楽器トリオなのでもうちょっとシンプルかと思いきや、多様な音が出てくるのも不思議で、何かと思えばトランペットとテナー・サックスにゲスト陣を迎えていた。その一人がブリティッシュ・ジャズ界でも割と知られたボブ・ダウンズ。ジェントル・ジャイアントのような冷たさとは違って、温かみのある音色が面白い。もしかしたら最もプログレッシヴロックらしいプログレッシヴロックを奏でているバンドかもしれない。

 バンドはここで一旦解散、1974年に再結成してアルバム「The Civil Surface」をリリースしているが、こちらはスティーヴ・ヒレッジやリンゼイ・クーパーの参加したセッションアルバムに近い。それでもやはり複雑な作品。ホンモノのプログレッシヴミュージシャンの世界は凄い。





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フレ
Posted byフレ

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