Quiet Sun - Mainstream (1975);
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深みにハマると楽しくなってどんどん突っ込んでいきたくなる英国ロック。その中でも泥沼化していくのがカンタベリー。一律にカンタベリー一派と言われるものの、その幅はかなり広くてで、音楽的ジャンルでは括れない状況になっていく。ある種の淡々としたテイストにユーモア、ポップセンスに浮遊するジャズ感覚を持ち合わせた技術集団的音楽。元祖はソフツやキャラバンなので、その辺の影響下にあるケースが多いけど、独自解釈で幅を広げていくのは音楽の宿命。中でも異色な振れ幅を引き起こしてシーンどころかプログレロックの中でも特異な地位を発揮したアルバムがこいつ。
1975年リリースのQuiet Sunの唯一作「Mainstream」。メンツはご存知フィル・マンザネラ中心でカンタベリーと言われる所以はビル・マコーミックの参加だ。一方ここでシーンに名を広めたドラマーのチャールズ・ヘイワードが以降のキーマンとなる。ご存知、This Heatへカンタベリーシーンを引き込んでしまい、そこからはもう歯止めなし。と言うか追いかけ切れないから不明。話戻して、この「Mainstream」はカンタベリー的浮遊感は要所で聴かれるものの、フィル・マンザネラの歪んだギターと硬質なチャールズ・ヘイワードの変態的ドラムが軸になっているから、相当にクリムゾン的暴虐さを表現しているし、一方では確実にソフト・マシーン直系の音世界の伝承者とも言える手法を繰り広げていて、決して初心者が取り付きやすい音楽をではない。イーノの変態的センスも振り掛けられているので更に妙な世界に仕上がっている、奇跡のセッション作品。だからこその唯一作になった。
しかしどうやってこの変拍子や展開を即席に近いバンドで組み上げられるものなのか。何が最初に出来上がってメンバーでジャムれるのか、不思議でならない。そんなにいつもスタジオで顔合わせてジャムって出来上がるでもないだろうし、それでいて新しい世界をきちんと作り上げてて、聴けば聴くほどに不思議感は増すけど惹き込まれるアルバム。結局自分はこういう攻撃的な音が好きだ。

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