Darryl Way's Wolf - Canis Lups (1973):
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70年代英国のロックバンドではバイオリンを主に据えたものも多く、有名どころではクリムゾン、カーヴド・エアだろう。デヴィッド・クロス、エディ・ジョプスン、そしてダリル・ウェイの三人が有名。バンドで言えば他にもイースト・オブ・エデンやエスペラント、ハイ・タイドが浮かぶ。バイオリニストのアルバムで思い出したダリル・ウェイのソロアルバム、ウルフのファーストアルバム。
1973年リリースの「カニス・ループス」。ダリル・ウェイのソロ作品一枚目だがあまりにもバンドアンサンブルが上手く出来すぎているのと、この後2枚のアルバム「サテュレーション・ポイント」「Night Music」を発表するので、ひとつのバンドで良いかと。面白いのはバイオリニストでも前面に出てバイオリンソロを弾く作品ではなく、バンド的に楽曲的にひとつの方向性を出してアルバムを作っている。
そのおかげで圧倒的に注目を浴びてしまうジョン・エサーリッジのギター。この人の技量はそれこそ後のソフト・マシーンで分かるが、ここでのギタープレイも見事で、要所要所できっちりと美味しいフレーズを持ってきて楽曲を昇華させる職人芸を披露。美しいプレイをする器用な人。さすがにホールズワースの跡を継ぐだけの事はある人。
楽曲全般的には英国のファンタジックさをそのまま出した作品で、堅苦しくないロックを展開。そこにバイオリンも絡むので余計にソフトな印象になる。特にA面はファンタジックなバンドの側面を打ち出して、ひとつのバンドを証明している。
面白いのはB面。初っ端からダリル・ウェイのバイオリン協奏曲炸裂。こういうのを期待してて、面白いのはバイオリンが主役になる曲は必ず変拍子になるしキメも多いので、凄くプログレッシヴロックに聞こえるあたり。この作品ではバイオリンのヒステリックさ対ジョン・エサーリッジのギターが完全にぶつかり合って非常にスリリング。二人ともロックな世界で出会えて良かった。B面の二曲はそういう楽しみを味わえるプレイヤー側として面白い面。最後はプロデューサーのイアン・マクドナルドに捧げた美しい楽曲。この人も神出鬼没で、ダリル・ウェイのアルバムのプロデュースで久々にシーンに出てきた。またしばらく音沙汰なくなるけど。
プログレファンに限らずこういう作品は聴くと面白い。決して聞きにくくないし、刺激的だと思う。バイオリンキライな人は別だけどそうそういないだろう。

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