Nucleus - Elastic Rock (1970):
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1970年にリリースされた時代は正に英国何でもあり時代のNucleusのファーストアルバム「Elastic Rock」。Vertigoレーベルもこのイメージ戦略に一味買っているけど、1970年のVertigoから出てきたバンドは気になる人は気になります。ホントはジャズ系のレーベルから出てきた方が良かったバンド。Nucleusはプログレの中で語られ、更にジャズロックで語られるけど、明らかにジャズです。エレクトリック時代のマイルス・デイヴィスを踏襲している部分が大きい。イアン・カーがトランペット奏者だからジャズです。
ところが試みは面白く、エレクトリックジャズなトランペット中心のインストに対して、クリス・スペディングがギターを被せ、更に後にソフトマシーンで名を上げるジョン・マーシャルがドラムを叩き、カール・ジェンキンスがオーボエを奏でる。オーボエ?その時点でVertigo行きは分かる気がするが、出てきた音はやはり面白い。こういうのを英国的と言うべきか、概念に囚われずに次々と新しいアイディアを実現しては進化させていく。そして音は淡々とクールに奏で、一部分だけを聴けば本物と大して変わらない旋律や音色を出しながらも全体ではまるで異なる音世界を紡ぎ上げる。冒頭に書いたジャズとロックの境目を簡単に行き来している連中の音です。しかもモダンジャズではなく明らかに進化系のエレクトリックな世界を含めたジャズと、発展に向かうロックの間。凄い。
Nucleusと後期Soft Machineはほとんど同じメンバーだから当たり前だけど、「Elastic Rock」を聴くとこの路線でメンバーのやりたい事は分かる。イアン・カーはソフツに絡まなかったからトランペット抜きのNucleasを想像すると全く分かりやすい。冷たい夜を更に淡々と冷たくしてくれる音で熱くなれます。

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