Hugh Hopper - 1984 (1973):
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Soft Machineのヘンな方向性の要因のひとつにはHugh Hopperのアヴァンギャルドなジャズ志向が大きく影響していた事は想像に難くなく、むしろその指向性があったからSoft Machineの方向性になったとも思う。もっともHugh Hopper一人の志向ではなくメンバー編成も含めてそうなっただろうが。
それで、随分昔にHugh Hopperの最初のソロアルバムので探して手に入れた。1973年のSoft Machine在籍中にリリースしたソロアルバム「1984」。ジョージ・オーウェルの小説「一九八四年」をモチーフにした作品で、真っ先のその発想はDavid Bowieの「ダイアモンドの犬」を思い出したけど、音楽的に何の共通項もありません。アーティストによる解釈を比較する面では面白いけど。
そのHugh Hopperの力作はSoft Machineの仲間、John MarshallやCaravanのPye Hastings、カンタベリー一派のサックス奏者として名高いLol Coxhillを迎えてのアヴァンギャルド作品。Soft Machineの音が可愛く聴こえるくらいにぶっ飛んだ世界に進んでいる。お得意のファズベースをたっぷりと活用して、何本もベースを重ねて楽曲を構築している。言い換えるとベースをバックにベースでソロを取り、ベースで効果音も奏でたアーティスティックに興味深い側面が強い。音楽性は多分にフリージャズな面とあくまでも「1984」の世界観を打ち出しており、「Miniplenty」はこの後のSoft Machineの「Six」に共通するミニマルミュージックの展開要素が既に構築されている。その世界観が見事に深層心理を恐怖に陥れる効果を担っているから、Mike Oldfieldの「Tubular Bells」と同年にリリースされている本作のアプローチは決してMike Oldfieldの「Tubular Bells」が新しいものではないと明示しているか。それを自慢気に言う人ではないし、Mike Oldfieldもカンタベリー仲間だし、行き着く音楽が同じでもおかしくはない。
そんな実験的側面を多分に持ったHugh Hopper最初のソロアルバム「1984」を聴くなら、結構心してトライした方が良い。じっくりと集中して聴くなら相当楽しめるけどそうじゃなければ、単に苦痛な音楽と感じるだろう。

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