Robert Wyatt - Rock Bottom (1974):
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元ソフトマシーンの肩書きすら今や遠い昔。今のワイアットのファンはその事を気に掛けない世代が増えているだろう。80年代を風靡したラフトレードレーベルから作品をリリースして新たな世代へ訴えかけたカンタベリーの重鎮。彼が半身不随の人生を歩んでいる事はその世代に知られているのかどうか。
ソフトマシーンからマッチングモウルと遍歴を重ねたワイアットはパーティの席上で酔ってそのまま階段から落下して下半身不随。ドラマーの道は絶たれてしまったが、彼の作曲のセンスと優しい歌声を知る仲間達の助けもあり、1975年にアルバム「Rock Bottom」を発表。恐らくワイアット作品中最高の出来映え。ドラマーの素晴らしさを収めた作品はソフトマシーンやマッチングモウル、他にもいくつかのセッションアルバム、例えばシド・バレット作品などいくつもあるし、歌の良さを聴かせてくれたのはソフトマシーンやマッチングモウルで経験済み。だからこそそのまま埋もれなくて良かったと思える作品で、ワイアットのユーモアセンスと何と言っても優しさと温かさの人間味に溢れる作品が美しく、万人に聴いてもらいたい作品。
「O Caroline」や「Moon In June」と云った名曲と肩を並べる「Sea Song」が素晴らしく、曲調も似ているが淡々と歌われ、凄く優しさがにじみ出てて来る。後半はグチャグチャになるがキレイで凄くて繊細な人だとつくづく思う。このアルバムは復帰第一弾でもあるから余計に感情移入して歌われているけど、カンタベリーの美しさ満載。アルバム制作を手伝ったメンバーはリチャード・シンクレア、ヒュー・ホッパーに加えてマイク・オールドフィールドなので、カンタベリーになる。しかし最近のCDではアルバムジャケットが変わっててどうにも馴染みがない。オリジナルは白いヤツで良く見かけた。
そして昨年、驚くべき歴史の記録がリリースされ、寝た子を起こす騒ぎになった9月に行われたカンタベリー一派によるロバートワイアット船出記念ライブ「Theatre Royal Drury Lane」だ。参加メンバーが強烈で、デイヴ・スチュワート、ヒュー・ホッパー、マイク・オールドフィールド、ジュリー・ティペッツ、フレッド・フリス、ニック・メイソンなど、凄いライブ演奏が繰り広げられている。特にジュリーが凄い。完全収録ではないけどワイアットの優しいだけではないロックな歌が聴けるし、アドリブプレイで聴ける旋律も強烈。オフィシャルリリースに感謝感激の一枚。

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