Colosseum - Daughter of Time (1970):

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 英国ロック史の中で目立たないけれど実は重鎮バンド、重要なバンドがいくつかある。古くはアレクシス・コーナーやジョン・メイオールのバンドがそんな英国ロックを産み出すメンバーの巣窟だったし、ヤードバーズは言わずもがな、クリムゾンもその類だ。バンドメンバーがコロコロ変わるのも、ある種スクール的になっている面はあると思う。そういうバンドから巣立ったメンバーが活躍して英国ロック史に残る作品が幾つも生まれたのは誇らしい。そんな中でも凄く重要なポジションを占めているコロシアム。

 メンバーの出入りも激しいけどアルバムのレベルの高さも演奏のレベルの高さもハンパではない。それでいて活動期間は3年くらいと恐ろしく凝縮された経緯を持つバンド。2枚目の「Valentyne Suite」はコンセプトアルバムとしても有名で、名盤としても名高い。4作目のライブアルバム「Live」はロック史の上位3位に入る凄いライブ盤だ。その間に挟まれた3作目が本作「Daughter of Time」。1970年リリースの非常にシンプルで高貴なジャケットを持つアルバムだが、バンドの来歴はともかくこの「Daughter of Time」に参加しているメンバーが凄い。

 ドラムはもちろんリーダーのジョン・ハイズマンだが、以降にあちこちで名前を見るサックス奏者ディック・ヘクストール・スミス、グリーンスレイドで活躍するデイブ・グリーンスレイド、初期ルネッサンスに参加していたベースのルイス・セナモ、説明不要のギタリスト、クレム・クレムソン、そして驚くばかりのボーカリストにはそれまでのキャリア豊富、且つ後にアトミック・ルースターに参加する、そしてジミー・ペイジお気に入りのクリス・ファーロウを配している。ここから派生したバンドやメンバーの過去の経歴を纏めるだけで一大英国ロックファミリートゥリーが完成するだろう。

 そんなコロシアムの「Daughter of Time」はとにかく濃い。演奏もアレンジもだが、圧巻はクリス・ファーロウのR&B的な快活で英国らしくない圧倒的な歌唱力がバンドを支配している。バックがどんなに凝ったプレイをしてもアレンジを施してもひとつの歌モノの曲に纏まる存在感。そして全くその存在感にヒケを取らないバンドの面々の演奏力も素晴らしい。クレム・クレムソンも一生懸命弾きまくっているし、グリーンスレイドも独特のトーンで楽曲を盛り上げているが、全くクリス・ファーロウの歌声には敵わないようだ。ルイス・セナモのベースラインはこれまでのコロシアムのベーシスト、トニー・リーブスと比べると躍動感とクラシカルなランニングスタイルが得意なことからグリーンスレイドとの絡みが抜群。「Bring Out Your Dead」はグリーンスレイドの一人舞台だが、ナイスやEL&Pに全くヒケを取らない凄い躍動感と楽曲。ジョン・ハイズマンのジャズ仕様のドラムがこういう風に絡むと圧巻だ。音楽的にはジャズもブルースもクラシックもプログレも一緒くたに入った全く形容できない激しいロックである事は確かだ。

 こういうバンドの存在感と音の楽しみ方が一番面白い。そして英国ロックの醍醐味を体現してくれる重要なバンドも嬉しい。アルバム数少ないけど、その分たっぷりとそれぞれを楽しめるのも良い。この「Daughter of Time」を散々聴いてから「Live」を聴くと、もう普通のロック聴いてられないです。







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フレ
Posted byフレ

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