The Pretty Things - S.F.Sorrow (1968):

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 コンセプトアルバムはいくつもリリースされており、そのパイオニアとなったバンドがどれかは議論にケリが付かないが、プリティ・シングスの「SF SORROW」もその狭間に位置している作品だ。英国ではアルバムリリースはザ・フーの「Tommy」よりも早かったもののそれを世に知らしめる役割を担うレコード会社の方が難色を示したため、売り出されなかった不運もあり、一般的知名度を獲得することなく「SF SORROW」はサイケの名盤として語られる。同様にキンクスの「Village Green」も売り手側が売り方を考えつかなかったために「Tommy」のロックオペラ論に全ての話題を持っていかれてしまったようだ。もっとも本人達がそんなことを気にしていたのかどうかは知らない。余談だがザ・フーのピート・タウンジェンドはキンクスのファンだし、プリティ・シングスもリアルで聴いていた人だ。

 さて、このアルバム、「S.F.」と付くが「セバスチャン.F」という人の「S.F.」なのでいわゆるサイエンス・フィクションの意味ではない。即ち「セバスチャン.F.の悲劇」というストーリーアルバム。

 それまでブルースロックバンドだったプリティ・シングスにサイケデリックの波が訪れ、ドラマーにはあの、トゥインクが参加し、より一層のサイケ色に拍車がかかるが、このトゥインクもまたロック史を飾るに相応しい人物なのでいずれまた。1967年にこの作品「SF SORROW」 をリリースしたが、モロにサイケデリックなジャケットと音に包まれたアルバムで、さすがに英国と舌を巻く曲の作りとメロディーセンスは凄いと実感するし、中でも5曲目の「風船は燃えている」での正に60年代を象徴する熱い演奏はライブでは凄いだろうと想像出来るかっこ良い作品。もしかしたらこのバンドの演奏は他のどのバンドのよりも良いかもしれない。ある種ディック・テイラーの運命がそのままバンドの運命になったような気もするが、ちなみにこの人は初期ストーンズのメンバーでベースを弾いていた人です。

 そんなプリティ・シングスの作品は、次作「Parashute」もサイケ調の作品でなかなかの快作。英国の60年代出身のバンドは実力が違う。「SF SORROW」 と比べるとさっぱりした感じが強く、混沌さがないのは時代を反映しているけど、それでも楽曲のレベルは相当なもの。英国ロック好きだからそう聞こえるのかもしれないけど、どこからどう切り取っても英国的なメロディやサウンド、コラージュも含めて興味深い曲ばかりで良い。ジャケットも相当ヘンだし、気持ち良く聞こえるのはドラッグ向けのアルバムだからかな。サイケだし、その時代だ。

 1977年になるとZeppelinのSwan Songレーベルからのアルバムリリースとなり、「Savage Eye」がヒプノシスのジャケットでリリースされ、ここでは見事な英国ハードロックバンドに生まれ変わっている。メンバーチェンジが絶え間なく行われているバンドったから、彼等なりに時代を生き抜いていく術を一生懸命模索していたと思う。

 1999年にはメンバーが再結集して、ギタリストにあのデイヴ・ギルモアを迎えて「SF SORROW」 を再演をしてCD、DVDともリリースされているが、今でも当時のアーティストネットワークが繋がっているのは面白い。





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フレ
Posted byフレ

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