The Kinks - Arthur or The Decline And Fall of The British Empire (1969):
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CD屋さんを覗いて何を見るワケでもなく新譜コーナーではあれが出るのかこれが出るのか…、そしてまだやってたんだこの人ってのもあったりネットで探す情報とは全く角度の違う見た目で多数の情報が収集できる楽しさはあるが、中古のコーナーも一巡りすると同じようなときめきを得られる。でも最近の傾向としてはとにかくCDって山のようにありすぎる、ってことだ。同じタイトルでももう何回もリリースされてるじゃない?リマスターから始まって紙ジャケ、SHM-CDとかSACDやDVD-AUDIOなどと出る作品は決まっているからそんなのはとにかく何を手に入れて良いのか分からないくらいに同じモンがいっぱいある。それで、CDの価値がどんどん下がってて、数百円でこんなの買えるのか?ってのもいっぱいあるから今からロックに目覚めた若者などは経済的には全然ラクに色々聴けるだろう、とある意味羨ましい。一方、どれを選ぶのが適当なのかが分かりにくいのはあるが。
さて、キンクスについても同じく山のようにCDがあって、それなりに無くなっているから売れているだろうけど、紙ジャケも何回も出たりしてるんだ、とあれこれ見ていて持ってるくせに欲しくなるという有様。いやいや、手を出してはいけません、持ってるんだから、と言い聞かせて楽しむに留まるが、CDコレクションは家にあるよりも店で見る方が多いかもしれない。家のCDを全部見直す事も多くないし。そんな中で妙に聴きたくなったのがこの「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」。昔は日本語タイトルが長すぎてよく分からないバンドだなと思ってたけど、とにかく名盤です。今なら声を大にして言えるくらい聴いてる。
アナログ時代からキンクスは集めて聴いていて、その時はモノラル盤の再発を持ってて、この時代=1969年だからまだモノラルでもおかしくないか、ってくらいしか意識しなくて聴いてたので、それが刷り込まれていた。そこへCDリマスターによる洗礼を受けて全部入手して聴いていると、思い切りステレオで、冒頭の「Victoria」のギターイントロが左右から入ってくるので驚いた。当たり前だけど、話として知っていたステレオ盤と実際に耳にするのでは大きく違った。モノステの違いにハマる前に聴きたいアルバムが多かったから何枚も同じアルバムは買わなかったし、そういう意味では同じアルバムでも二度三度楽しめるのかもしれない。
作品自体はとにかく名盤。名盤っても分からないから簡単に書くと、名曲が揃ってるって事です。この頃の英国ではレッド・ツェッペリンも出てきて思い切りブルースなハードロックが台頭してきて70年代のフリーインプロヴィゼーションの熱いロックの時代に入るにも拘わらずキンクスのこの「アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡」は全く英国的な情景を見させてくれる作品で、慣れるとどの曲も自然に口ずさんでしまうくらいのポップさを持った大英帝国の証とも言えるアルバム。かと言ってロック的ではないかと言うとそうでもなく、「Victoria」や「Brainwashed」のようなカッコ良いロックナンバーも揃っている。一方では「マリーナ王女の帽子のような」や「シャングリ・ラ」、「ドライヴィン」「ミスター・チャーチル・トゥ・セイ」みたいな涙モノの聴かせる名曲もある。更に他は、となると英国ロックです、単に。名曲とまでは言わないけど、どう聴いてもしっとりと来る曲ばかり。10回聴いてこのアルバムの良さが分からなかったらキンクスとは縁がなかったと思った方が良いかも。数回では絶対分からないけど。しかし、デイヴ・デイヴィスのギターセンスが全開している作品で、細かいけど味のあるギター弾いてて「Nothing To Say」や「Arthur」のオブリギターが凄い。
今じゃボーナストラックが10曲も入っているが、もっともずっと追いかけているファンにしてみれば凄くレアなテイクばかりを収録しているので嬉しい悲鳴でした。そのおかげで全部買い直したけど、ここまで出てくれると以降の紙ジャケはアイテム的に買うことはあっても聴くのは最初のリマスターCDが多く6枚組のボックス「Picture Book」もリリースされてて、これもまたいっぱい曲が入っててコレクション不可状態。

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