A.R.M.S. Concert (1983):
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ロック好きなヤツならば三大ギタリストと云えばピンと来るが、彼らが一堂に介して行われたライブが過去に一度だけあった有名な「アームズ・コンサート ~三大ギタリスト夢の競演~」。ベック、ペイジ、クラプトンの三人で最後に「レイラ」をセッションするが、そもそもはロニー・レインの筋ジストロフィーという病気の治療方法にカネがかかるので、その研究支援機関の資金集めを目的としたものらしく、英国で二日間、アメリカでも何日かツアーが行われた。
英国のロイヤルアルバートホールの演奏がDVDでリリースされているけど、その話題ほど演奏の出来映えは大したコトなくて、集まってプレイする記念事業の見方なので中味はそれほど注意する必要もないけど、見ていてこのメンツの割には全然面白くないと思うだろう。クラプトンのバックにはチャーリー・ワッツやビル・ワイマン、全編出ずっぱりのサイモン・フィリップスがドラムに居座ってるが、全然曲覚えてないが、お馴染みのパーカッションプレイヤー、レイ・クーパーはもの凄く良い味を出しているから救われる。アンディ・フェアウェザー・ロウがコーディネイター的に参加していながら自身でも一曲披露してて、スティーヴ・ウィンウッドも参加してるが、演奏的にはそれなりながらもリラックスしたセッションな感じ。ウィンウッドの歌声の素晴らしさが光るものの、あと一歩缶はあるが、スペンサー・デイヴィス・グループの「Gimmie Some Lovin」には驚いた。
やはりジェフ・ベック。サイモン・フィリップスはもともとここから連れてきてるだろうから当然バンドとして纏まってて、ベックの革新的ギターの片鱗が見れるのは美味しく、ひと味もふた味も違うプレイを余裕でぶちかましてくれる。ある意味この人のライブはいつも面白いから外さないし、「Hi Ho Silver Lightning」で自身の歌と客との掛け合いが見れるのも実に珍しい。
そして本命ジミー・ペイジ。やっぱりこの人はロックだ。クスリ決めまくって出てるのがバレバレで存在だけでカッコ良いが、完全に浮いてる。そしてツェッペリンはこういうにわか仕込みのセッションでは出来ない事が証明されて、ソロの曲はともかく、インスト版「天国への階段」もバックは全然ボロボロで、ギター弾く側もノレないと思うくらいにバラバラで曲を知らないでプレイしすぎで悲しいシーンを見れば、ツェッペリンが特殊なバンドだったとつくづく感じる。それは後のライブエイドでも十二分に証明されているけど、ここで初めて露呈した事実。しかし、ジミー・ペイジのギターの音は完全に新しくなっててThe Firmサウンドに近く、テクニックはともかくテレキャスを腰上辺りで弾いているので長い腕が余ってるように見えるプレイスタイルもユニークだ。歌がある曲はウィンウッドが歌っているのでそれなりながら、それもいい加減で、全然適当でやる気ないようにも見れるから残念。この中でジミー・ペイジが満足できたミュージシャンは誰かいただろうか?と思うくらいボロボロ。ポール・ロジャースが救いだったか。

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