Patti Smith Group - Radio Ethiopia (1976):
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ニューヨークパンクの発祥は決してロンドンパンクの波と関わり合いはない。MC5やストゥージーズのモチーフがあって、そこに英国の王道ビート、The WhoやStonesなどの反骨的なロック魂を入れ、更にアンダーグラウンドな芸術性をその世界に持ち込んだ。ロンドンパンクのファッション性に富んだ煌びやかなパンクの世界とは異なり、芸術性が高く説得力のあるサウンドを打ち出した。しかし、そこはアメリカ。やはり深みの部分は一瞬の深さになり継続出来ないジレンマもある。そしてパティ・スミス。MC5のギタリスト、フレッド・スミスを夫に迎えるて音楽活動から引退した潔さが彼女を伝説化させている。
パティ・スミスが1976年、ロンドンパンク誕生前夜に市場にリリースしたセカンドアルバム「Radio Ethiopia」。ジャケット写真はロバート・メイプルソープでしっかりと見据えたパティ・スミスの表情が印象的。そして中身。何がそんなに良いか分からないけれど素晴らしい。メロディもあるけどパティ・スミスの歌声の説得力、意志の強さ、伝わってくるものが凄く大きくて最初から最後まで感動しながら聴ける。くだらない曲がない。1976年だからパンクの概念が一般化していない頃だからパンクの女王の音でもない。激しい曲もない。ただ説得力のある女性が歌っているだけで、楽曲的にはパンクらしいところはない。だから偏見なしに聴く方が正しい姿に痺れる。これは彼女の作品すべてに言えるけど。
この頃のパティ・スミスはパティ・スミス・グループ名義で、しかも最初のアルバム「ホーセス」をカーステで聴いたら実にしょぼい音だと気付いてジャック・ダグラスをプロデューサーに迎えて分厚いサウンドを目指した。そういう意味では確かに迫力のあるサウンドに仕上がっている。そういうところに気付くのは本人のロックへのこだわりだろう。音の厚みなければ小さい音でも大きい音で聴いてもパンチが足りないし、その辺はファーストをプロデュースしたジョン・ケイルには分からなかったか、パティ・スミスの持つガレージ的なイメージには合わなかったか。
昔はこの頃のパティ・スミスの映像も見れなかったけど今はYouTubuで見れる。そんなライブを繰り広げていたとは、もっと早く見たかった。

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