Richard & Linda Thompson - I Want To See The Bright Lights Tonight (1974):
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英国伝承音楽の道をメジャーにしたアシュリー・ハッチングス、更に磨きをかけた英国的ギタープレイヤーはリチャード・トンプソン。表立った活動で頭角を現したのはフェアポート・コンヴェンションから。サンディ・デニーと共にフェアポートのセカンドアルバムに参加し、そのギターセンスを披露した。フェアポートではサンディが脱退した後の「Full House」、「House Full Live」に残された名演奏がリチャード・トンプソンの名を決定的にする。
その後は引っ張りだこでアチコチでその名がクレジットされたレコードを目にするが、1972年にようやく初の自身のソロアルバム「Staring As Henry The Human Fly」を発表。冒頭のイントロからリチャード・トンプソン以外の何者でもないギターの音で、個性的な独自サウンドを全面に出した。そういう意味では他人とのセッションの方が気楽に弾いている気もするが、英国的な香りしかないギターの音色は真似できる人はいない独自性。アシュレー・ハッチングスも歌で参加したりアコーディオンではジョン・カークパトリックが参加したり、全盛期のサンディ・デニーも参加しているので英国トラッド勢の集合アルバム的ニュアンスも強い。
その後はリンダ姫と結婚してリチャード&リンダ・トンプソンとしてアルバムをリリースしていくが、中でも二人の最初のアルバムとなる「I Want to See the Bright Lights Tonight」が良い。音色の豊かさはいつもの事ながら、音に幸せが入っていて、しかもアコギとエレキが程良いバランスで流れているトラッド色も強いけどオリジナリティのにじみ出ている作品で、リンダの声も悪くない。二曲目の「The Calvary Cross」はイントロのギターを聴くとジミー・ペイジの「Black Mountain Side - White Summer」とフィーリングが同じで、且つこちらの方が音色の艶めきがある。
一般的に知名度のある作品群でもないけど、Zepと同じルーツから異なるサウンドに変化したエレクトリックトラッドのギタリストサウンドは実に面白い。クラプトンはブルースを自身で昇華しているので比較論はナンセンスだけど、リチャード・トンプソンのサウンドは深みがあって良い。キャリア集大成のボックスセットも入手しやすい。

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