Peter Sinfield - Still (1973):

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 1972-73年当時のマンティコアレーベル発足時にはプログレ人脈、主にEL&Pとクリムゾン関係が大集合していたけど、主たるメンツはさほど関わらず、周辺メンバーが集まった印象。その中にはSnuffy Waldenも名を連ねていたが、その第一弾ともなった集大成の気合一発作品が、人望が厚かったピート・シンフィールドの最初で最後の音楽的ソロアルバム「Still」。

 1973年にリリースされた唯一の作品だが、元々音楽家ではなく詩人だったピート・シンフィールドのソロアルバムとは如何にと思うが、結構持てはやされている。メンツはGreg LakeやMell Collins、Keith TippettやJohn Wetton、Ian Wallaceなどと錚々たるメンバーが出てくる。音的にどうかと言われると、期待するほどのものではないし何かを象徴するほどのサウンドでもないし実験的でもない。友人集めてレコーディングしてみました面が大きい。クリムゾン時代に独特の歌詞世界を築き上げて有名になったけど詩人です。そういう意味では見事な詩世界を作るのが仕事なので、音的には特徴はない。ただ、全体を通して凄く優しさが伝わってくるので、クリムゾンの研ぎ澄まされた世界から一気に反動で優しさが出てきたのかもしれない。もしくは詩世界だけならこういう優しいサウンドをイメージしていたか。人間的な感じで生理的には受け付けやすい音です。フワフワしてるし。

 ピート・シンフィールドはいくつかのバンドの名盤にプロデューサーとして登場することがあるけど、どれもこれも音的にはそんなにプロデュースしていないかもしれない。存在だけで良く、歌詞の世界についてアドバイスはあるけど、音は多分バンドそれぞれの力加減が大きいだろう。エスペラントも特徴的じゃなかったし、PFMはもともと凄いバンドだったし。ただ、彼等が持っていなかったのはブランド。ピート・シンフィールドはそれがあって且つ目立ちすぎないところが良かったか。もしくはクリムゾンの手法を知りたかったか。

 この「Still」の音はとことん英国的で牧歌的です。激しい音は一切ないし、単なるインストもない。参加しているメンツも個性を出さないで演奏して、とても余所余所しい演奏な感覚。そもそもピート・シンフィールドの歌が弱いからそうならざるを得ない。そんな中でグレッグ・レイクはマンティコアを支えるために頑張ってかなり割り込んで参加しているのは面白い。



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