Japan - Tin Drum (1981):
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坂本龍一とコラボレーションした英国アーティストは数多くいるが、古くから今に至るまで長々と友情を保ちながら作品も出しているのはデヴィッド・シルヴィアンくらい。そもそもの出会いはジャパンの四枚目「孤独な影」に収録されている「Taking Islands in Africa」のセッションから。話によれば坂本龍一がアルバム録音のためにロンドンに渡っていた時に隣のスタジオで録音していたのがジャパンで、そこからのつきあいらしい。
YMO→坂本龍一→デヴィッド・シルヴィアン→ジャパンの系譜が繋がっていく。YMOとジャパンを切り取ると、音楽的に共通項はないが坂本龍一の作品とデヴィッド・シルヴィアンの作品では共通項が出てくる。
超美形のデヴィッド・シルヴィアン率いる英国のバンドながらもジャパンと名を付けた日本人的には嬉しいバンドで、英国で売れなかった初期に彼等を熱狂的に待ち受けていたのは我が国の女性陣。化粧した美形に弱いのは今に始まった事ではないが、常に日本の女性が待ち受ける程の人気を誇るバンドは世界的に成功する例が多いので侮れない。ジャパンも初来日からいきなり武道館満員の公演で本人達もそんなに大きなトコロで演奏した事ないと云っていたので、日本での極端な人気ぶりが伺える。
そんな初期の作品はファンク的要素も含まれているけど暗くて英国でもウケなかった。今聴けばそれなりに面白いけど、三枚目「Quiet Life」以降が良い。ヨーロッパ的な耽美さを前面に出しながら東洋チックな雰囲気を織り交ぜた「ブリキの太鼓」、四枚目と同じくらいの出来と思う。
ジャケットはイマイチ。デヴィッド・シルヴィアンの美しさは相変わらず。中身は暗い。リズムとベースライン、特にベースラインは面白いので楽しめるが、アルバム全体を覆い尽くす雰囲気は80年代のニューウェイヴと同じく落ち着いたデカダンな雰囲気がたっぷりと出ている。そこにアジアンチックな旋律だから摩訶不思議なサウンドに仕上がる。シングル「Ghosts」が英国でバカ売れしたのは不思議で、結局最後の悪あがきになった。
言い方変えるとすごく「オシャレなサウンド」に仕上がっている。好んで聴く音でもないけど、惹かれるものがある。多分その音の奥に秘められている人間性が惹き付けると思うし、こういう表現もあると感心。そして80年代のダークなニューウェーブサウンドに繋がる。

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