Paul Rodgers - Now (1997):

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 1993年の「Muddy Water Blues: A Tribute to Muddy Waters」で派手にシーンに返り咲いて以来、それまでのフーテン状態から一気にビジネスマンと化してセッションやアルバム制作にライブ活動とここぞとばかりに働いたPaul Rodgers。丁度時代はロック壊滅期とも言える90年代だったが、独自の活動を繰り広げていた。「Muddy Water Blues: A Tribute to Muddy Waters」が好評だったし、往年の歌声復活もあってファン側も認識して聞いていたし喜ばしかった。

 そんなPaul Rodgersがカバーアルバムではなく、オリジナルアルバムとしては二枚目となる「Now」がリリースされたのが1997年。しかもタイトルが「Now」とは、この頃最も自分が充実している事を自覚していたらしく、今の自分を聞いてくれ、との意味で「Now」としたらしい。それに加えて、自信溢れる証明のように「本作はライブ録音してます」と書かれている。つまりオーヴァーダビングを重ねたり音を修正したスタジオアルバムではなくて、バンドのメンバーとライブで録音した意味。ある程度被せた音はある感じだが、基本はライブ録音。だからものすごく一体感があって勢いも感じられる「Now」の意気込み。

 確かに凄い充実度だが、イマイチ認知されないのは楽曲のインパクトのなさで、もうちょっとフックの効いた曲があると良かったが、概ねPaul Rodgersの曲は英国然とした説得力のある曲が多いので、キャッチーでフックの効いた曲は多くない。それがモロにアルバムにも現れてしまって、もともとポップな曲を歌う人ではないから本気で作ると余計にこういうニッチな音になるかもしれない。その代わり、歌がもの凄い本気度を聴ける熱唱ぶりで聴けば驚くし、さすがと唸る。初めて聴く人なら感動する事は間違いない。曲は良作が揃ってて、かなりハイクォリティだからフックの問題だけでレベルは凄く高いから素晴らしい。

 バンドメンバーも今でも続けている面々もいるので、実はこっちの方が長いくらい信頼できるメンバーになっている最初の頃の音なので興味深い。しかし歌はホントに上手いから、BGMにしては聴いてしまうし、本気で聴くにはやや物足りない何とも悩ましい作品だが、カッコ良いロック。



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フレ
Posted byフレ

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