Cream - Wheels of Fire (1968):
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1968年に最も熱いライブをアメリカ国内で繰り広げていたのは実はアメリカのバンドではなくイギリスのバンドだった。クリームはサイケデリック・ムーヴメントもアメリカ戦略と仕組まれ、大人になればなるほどに彼等のアメリカ侵略の上手さに舌を巻く。そしてその熱狂の様子を収めてリリースされたアルバムが「Wheels of Fire」である。
AB面は3枚目のスタジオアルバム、CD面はここで陽の目を見た1968年3月頃のフィルモアイーストで行われたライブを収録。前作「カラフルクリーム」はモロにサイケデリックな様相を匂わせた作品だったが、今回はジャケットにそのイメージを少し残しているものの、音楽的にはほぼ脱して独自性を打ち出している。3作目にしてようやく彼等の本質がスタジオアルバムで打ち出され、遂にベールを脱いだ。当時はスタジオ盤はスタジオ盤、ライブはライブと割り切っていたのでナマでライブを体験できない人には何故にそれほどクリームが騒がれるのかイマイチピンと来なかっただろう。スタジオ録音盤の初っ端の「White Room」から素晴らしく、サイケ風味もありながら、スタジオ盤のくせにアドリブ合戦的要素が深くてクリームらしい良い曲。以降も聴いたけど、そこまで熱中しなかった。やはりクリームはライブなのでCD面。
いきなりの「Crossroad」から強烈な曲とアドリブ合戦です。これぞクリームが良く表れた代表曲でイントロのギターリフから定番。誰とセッションしても出来るに決まってる定番曲でアレンジも凄いセンスだけどギターソロが凄まじい。曲はロバジョンと云うけど、ロバジョンの原曲を聴いても同じ曲とは思えないので、この辺はクラプトンのアレンジか、流石に良いセンス。ギターソロも定番ながら、メジャーとマイナースケールが入り交じってストーリーが描かれる綺麗な音で繋がる上手さ。知ってて狙ってるのは当然ながら、センスを試せたクリーム。ジンジャー・ベイカーのドラムは凄いけど、曲に合わせて叩きまくってるのでそんなにセンスは必要ないようにも思えるが、アドリブに強いのは重要。だからドラマーのスタンスを確立した人で、「Toad」でも顕著に表れてる。ジャック・ブルースはベースマンとしてアドリブをあれだけ出来てドラムにもギターにも合わせていけるキーマン。楽曲アレンジ面のセンスはクラプトンの方があったかもしれない。でもクラプトンもその辺、妙に自信なかったのか結局マウンテンのフェリックス・パッパラルディに全てを依存するのも面白い。この「Crossroad」は究極の一曲。ちなみにフリーも同じアレンジで演奏していて、こちらはもっと重いノリのバージョンで面白い。クリームの方は2曲目の「Spoonful」も定番でアドリブを楽しむには良いけど、曲が単調でイマイチ。クリームはそういうパターンも多い。
こんなのがアメリカのあちこちでいくつも見れたとは羨ましい。クリームのこの時期のライブビデオは存在してないのか。解散ライブしかないので、どこかで発掘してほしい。

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