Led Zeppelin - Coda

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Led Zeppelin - Coda (1982)
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 Led Zeppelin最終楽章「Coda」は解散発表から約2年後の1982年にリリースされている。当初はショックが大きくてツェッペリンのソースを聴く気も起きなかったとジミー・ペイジも回想していたが、徐々に企画を温めてライブアルバムシリーズを計画するも頓挫して未発表曲集の発掘になった。その名残が1970年ロイヤルアルバートホールのライブソース2曲の収録に残されている。以前からどの曲もいつ頃の録音音源で、特にロイヤルアルバートホールのライブの2曲は謎多きクレジットのため長い間真実は知られなかった。「We're Gonna Groove」がBen E Kingのカバーだと言われつつも、実際同タイトルの曲はBen E Kingのクレジットには見当たらなかったため、実はデマだとの話も流れた程。実態はBen E Kingの「Groovin'」が元ネタらしく、今では判明しているから両者の曲のアレンジの違いも聴ける。また、「I Can't Quit You, Baby」は当時からロイヤルアルバートホールのリハーサル音源と言われていたものの、ツェッペリンのアングラ音源を漁っても出て来ないから不思議なリハーサルソースと思われていたが、聴き比べてみれば一発で本番ソースの流用と分かる。ただ、ギターソロ途中から後がカットされた編集なので、曲の長さも異なるから発見しにくかった。そこに気づいてしまえば、過去最高峰レベルの「I Can't Quit You, Baby」のライブパフォーマンスソースが早々にオフィシャルで収録された貴重な音源。当時ロバート・プラントがライブアルバムシリーズのリリースを渋った理由が不思議な程で、恐らくは他のライブソースに問題があったと思われる。

 アルバム冒頭から強烈にカッコ良い「We're Gonna Groove」は1970年のライブでもオープニングを飾っており、ここまで未発表だった方が不思議だが、結局スタジオ録音バージョンは行われていないながら、音の粒が整った収録はさすがのジミー・ペイジ。このままライブ音源も続々と出してくれればミックスソースでもリスナーには一発では分かるまい。その上手さは「How The West Was Won」で2つのショウをミックスした実績が物語っている。ギターソロもカッティングプレイもグルーブも絶頂期のツェッペリンのグルーブが素晴らしい曲で、「Coda」はこの曲を筆頭にひとつのライブアルバム的な曲の並びで構成されていると捉えても良いアルバム。「Poor Tom」はセカンドアルバムのアウトテイクで軽やかな曲だがボンゾの重さが一際目立つツェッペリン以外では聴かないロックサウンド。「I Can't Quit You, Baby」は最初期ブルースツェッペリンの全てが凝縮されている曲及びライブの熱き演奏スタイルで、あまりにも普通に聴くには長尺でヘヴィ過ぎる理由からオミットされていると思われるが、それでも最高のパフォーマンスが捉えられている。ロバート・プラントの歌声の艶やかさにジミー・ペイジのアグレッシブで曲やバンドと一体となった熱いギタープレイ。ジョンジーの隙間を縫った絶妙なベースにボンゾのタメの効いた超絶パワフルドラムはツェッペリンを表す代表的なナンバー。素晴らしい。「Walter's Walk 」の強烈な変拍子にも聞こえる妙な展開のギターリフはツェッペリンお得意のパターンで「聖なる館」のアウトテイクながらも本作で浮上して有り難く聴ける超絶曲。こんな曲が生まれ出てくる事自体が奇跡だが、そこにこのメンバーの、特にドラムの重さが全くロック界随一の音で鳴るから痺れる。

 B面は概ね「In Through The Outdoor」のアウトテイク集に近いが、オリジナルアルバムに収録された楽曲群とは異なるそれまでのツェッペリン風ロックを踏襲した作品群が多いから、オリジナルアルバムは明らかに方向性を定めた曲をチョイスして作られていると判明する。一方「Ozone Baby」や「Darlene」そして強烈な「Wearing and Tearing」は「Physical Graffitti」に入っていてもおかしくないヘヴィなツェッペリンサウンドだから、本来は次のアルバムに持ち込まれた曲とも想像出来る。特に「Wearing and Tearing」はボンゾのドラムでライブバージョンが聴いてみたかった幻の楽曲。Page & Plantで1990年に一度ライブ演奏されているが、曲の驚きはあったが演奏の驚きは逆の意味でしかなかったので、余計にボンゾドラムを期待してしまうが無い物ねだり。「Bonzo's Montreux」はジミー・ペイジが実験的にボンゾと試していたドラムパターンを処理した作品ながら、時代の最先端を行くセンスの良い電気処理楽曲。

 1982年にリリースされた本作は今は亡きレッド・ツェッペリンを味わう上でひたすら皆で聴きまくったアルバム。しかも概ね未発表曲だから有難き新曲集に捉えられ、重宝する一枚となった。結果的に本作までの10枚のアルバムでレッド・ツェッペリンは完結し、今に至るまで歴史に残る最重要バンドのアルバムとなっている。当時から技術とセンスを駆使したアルバム作りのため、リマスターも2度しか行われていないが、それでも十分にリスナーが満足出来るハイレベルな音質で録音されているから凄い。楽曲だけでなく音質面、録音のクォリティ、アルバムジャケットと妥協する点が一切ない作品の素晴らしさがレッド・ツェッペリンのクォリティの高さを証明し、今でもトップに位置するバンドで威厳を誇る。この後も幾つかの未発表曲は発掘リリースされているが、概ねレッド・ツェッペリンの残存スタジオソースで使える楽曲レベルは残されていなそうだ。今聴いても存分に楽しめる素晴らしきアルバム。








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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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おーぐろ  

Physical Graffittiもそうですけど、言われなきゃアウトトラックだと気付かないくらいのクォリティ
そこがやっぱZepならではですなぁ 
まぁ、ちょっと一貫性に欠けるのがアレですが 

2021/10/16 (Sat) 03:21 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
Santana

ホントに無駄な曲作らないか、作り始めたらとことんまで作り込むか…。面白いバンドです。

2021/10/17 (Sun) 19:51 | EDIT | REPLY |   

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