Stanley Clarke, Al Di Meola, Jean-Luc Ponty - The Rite of Strings

Stanley Clarke, Al Di Meola, Jean-Luc Ponty - The Rite of Strings (1995)


　ジャズ・フュージョンの世界か、ロックインストか境目すらも不明になっている超絶テクニックを持つ楽器プレイヤー達のセッションは時が経てば経つほどに可能性は増え、また広がるため夢のようなジャムも実現している。60年代からのプレイヤーは流石に90年代頃で名を聞かなくなるが、70年代のジャズ・フュージョン時代を風靡したメンツは00年代に復帰活躍しているパターンも多く、また、時代が制約を取り払っているため夢のセッションが数多く繰り広げられている。その幾つかはライブのみだが、スタジオ盤まで制作する例もあるのでミュージシャン側も刺激を受けて時代を生きているし、アイディアもまた研ぎ澄まされて出てくる。

　スタンリー・クラークとアル・ディ・メオラの発想から始まり、ジャン・リュック・ポンティが加わって1995年に「The Rite of Strings」がリリースされている。弦楽器奏者3名のみのプレイで、それぞれがテーマと曲を持ち込んだオリジナル楽曲で構成されており、恐らくは一発録音だからライブと変わらないが、そのスリリングさはアルバムの音にも記録されているからテンション高い状態で聴ける。しかもどの楽曲もアコースティックでプレイしているので、ウッドベースにアコギ、スパニッシュギターとクラシックバイオリンと音色に誤魔化しが効かないので、美しさも一際だが、やや飽きやすい音色の連続にも感じる。メロディとテーマに基づいて三者三様のソロが決められて演奏されるので即興の音のぶつかり合いはそこまで聴けないが、その必要がない程に各パートのソロがクローズアップされて目立つ。3つの楽器の音しかないから、当然スペースも広く取って演奏出来るから当然だが、それで十二分な程に音楽がゆとりを持って楽しめる快作。

　同じメンバーと構想でエレクトリックでプレイするパターンもあれば楽しみも増えてロックリスナーでも耳にしやすかったが、無い物ねだりも良くない。1995年になって夢のようなセッションが実現している事実の方が有り難く、90年代では聴かなかった音を後世で聴ける作品に残してくれて感謝。近年プレイヤー達の奏でるインストの楽器演奏アルバムが気に入っているので、幾つか耳にする中でもユニークなコンセプトのアルバム。

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