Jean-Luc Ponty - Enigmatic Ocean

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Jean-Luc Ponty - Enigmatic Ocean (1978)
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 アラン・ホールズワースはソロアルバムよりもセッション作品の方が知られているから、クリエイターよりはギタリスト、ミュージシャン肌のプレイヤー気質が強い人のようだ。それでも音楽を知らなければ容易にセッションも出来ないメンバーの中に参加しているから、当然の如く基礎知識もテクニックも備えた上でギターを探求する嗜好性を強く出した人。70年代の英国ロックのジャズ系方面では欠かせないギタリストで知名度を上げ、70年代終盤のフュージョン全盛期になるとこれまでの指向性もマッチして大活躍の引っ張りだこ状態まで、その卓越した腕前を皆が欲したテクニシャン。残された作品を聴けばそのセンスも聴けるし納得もするギタープレイで、そこに留まらず更に飛躍していく様もまた探究心旺盛な姿で職人芸。一方では楽器にも固執しないで次々と売り払っていく様相も通常のミュージシャンとは異なり、執着心がない珍しい人。

 Jean-Luc Pontyはフランス人ながら60年代からバイオリニストで活躍し、ロック畑ではザッパの名盤「Hot Rats」に参加して、断片的にバンドに参加しつつ、70年代にはマハビシュヌ・オーケストラにも参加。マクラフリン絡みからチック・コリア作品にも参加するオールマイティな活動を放って待望のソロアルバム「Enigmatic Ocean」を1977年にリリース。揃えた面々は意外とスタンダードなロック筋の連中で、ジャズ・フュージョンからではない所がJean-Luc Pontyの本質を物語っている。そこに迎え入れられたアラン・ホールズワースとドラムのスティーブ・スミスは後のジャーニーで知られるメジャーぶり。もうひとりのギタリスト、ダリル・ステューマーはジェネシス絡みで知られているが、強烈なプレイと音色を炸裂させるマハビシュヌ・オーケストラからのラルフ・アームストロングのベースプレイも凄まじく、恐るべし人脈を使っている強力なロックインストナンバーアルバム。

 アルバムタイトル通りの「Enigmatic Ocean」=『秘なる海』をテーマにしたロックビートにグルーブした楽曲が軽やかなメロディで紡がれていくが、主旋律をバイオリンで、またアラン・ホールズワースのギターで彩りながら、本作をロック的名盤にしているドラマーのスティーブ・スミスのドライブするリズムと心地良く鳴らされるドラミングが最高。メンバー全員がドライブしているが、ドラムのセンスの良さがバイオリンだけのジャン・リュック・ポンティのアルバムに華を添えている。一見やや軽めな音に聴こえるが、曲を聴き進めていくと、紛れもなくロックスタイルに則ったアルバムと理解するので、プログレでもなければフュージョンでもなく、プロミュージシャンが奏でる心地良い演奏を聴けるジャズのような位置付けのアルバム。





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フレ
Posted byフレ

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おっさん  

ホールズワースはライブ会場で見た感じは
気さくな普通のおじさんでしたね。
ショービジネスの世界で生きるのは大変だったろう、
晩年は恵まれた感じがしなかった。

2021/09/30 (Thu) 05:27 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おっさん

いや〜、貴重な体験と思います…。

2021/10/04 (Mon) 00:09 | EDIT | REPLY |   

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