Chick Corea - My Spanish Heart

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Chick Corea - My Spanish Heart (1976)
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 ジャズ・フュージョンの世界やロックからアプローチしているフュージョン、いわゆる楽器演奏だけの世界はこれまでも多少かじってはいるが、じっくりと取り組んだ事もなく名前は知って聴いた事はあるが、ハマり切れない世界でもあった。毎回聴く度に凄さを実感して、これぞ音楽、楽器演奏するならこのレベル感が心地良いし、聴いてもメンバーのぶつかり合いや楽しみ方が分かるのでさすがミュージシャン達と思っていたが、まだ子供だから飽きてきてロックに戻ってしまった。今でもそこは変わらないが、徐々にこういった大人の世界に留まれる時間が増えてきたように思う。

 Chick Coreaの1976年リリース作「My Spanish Heart」はジャズ・フュージョンとロックも見据えて更に自身のルーツでもあるスパニッシュのアプローチを巧みに鍵盤やバイオリンで取り入れて、エッセンスだけはスパニッシュながらプレイするスタイルはジャズ・フュージョンロックアプローチと音楽家ならではの挑戦が実を結んだ快作。メンツが先日のマハビシュヌ・オーケストラ第二期とかなり被る事からジョン・マクラフリンとの交流の深さが読み取れる。ジャン・リュック・ポンティのバイオリンに奥方となるゲイル・モランの参加、この時代からテクニシャンとして知られていたスティーブ・ガッドのドラムにスタンリー・クラークのベースと鉄壁の布陣はマハビシュヌ・オーケストラを大きく超えての強烈なバンドアンサンブル。それでもメンバーが単なるサポート役にしか聴こえない演奏を繰り広げるチック・コリアの素晴らしき才能の充実ぶりは全盛期真っ只中。ホーンセクションも用いてマハビシュヌ・オーケストラが悩ましげに作り上げたコラボレーションをさらりと我が物にして融合させている天才感も凄い。

 ロック好きの自分にはこういった高尚な音楽世界がどのように紡ぎ上げられてバンドで演奏出来るかが想像しにくいが、譜面に落とせば音が見えるプレイヤーばかりで何度かセッションすれば出来上がると想像すれば良いか。ミュージシャン全員がそう出来るとも思えないが、さすが世界の最高峰はこの複雑な演奏は当然ながらライブでも記憶してプレイ出来るから恐れ入る。アドリブプレイならまだ分かるが、そうも出来ない構築美の世界だから余計に不思議に思うと同時に才能の豊かさを味わう。チック・コリアの鍵盤もピアノやムーグなど多種の楽器を駆使して作り上げている美しい世界だから普通に聴き心地の良い作品。





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フレ
Posted byフレ

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