Pendragon - The Jewel

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Pendragon - The Jewel (1985)
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 80年代の音楽界は様々な意味で革新的で綺羅びやか、一方で陳腐で安っぽい不思議な側面も持つ両極端な時代。前者はバブリーな成果で70年代の陰鬱さから脱却して前に向いた時代だから、後者はデジタル最初期だからやむを得ないが、新しいサウンドだったから革新的なプレイヤーは皆取り込みたくて挑戦した結果の反動。この時代のほぼすべてのアルバムにこのチープさが当てはまるために80年代を代表する音色である反面、作品の良さを損ねている場合もある。

 Pendragonの1985年リリースのファーストアルバム「The Jewel」も例に漏れず時代を反映した音色のアルバムに仕上がっており、全く陳腐なアルバムに聞こえてしまう残念さが作品の鋭さと革新性を損ねている。今聴いてもこの音色と音処理は聴き辛く、聴く意欲を削がれるレベルにあるが、Pendragonの楽曲の豊かさと面白さがアルバムを聴き通させてくれる実力派。音色を聴けば当時のポップ・ロックサウンドで、少々凝りすぎながらもロック色ではなくキャッチーさが前に出てくる印象だが、目一杯プログレッシブなサウンドとアレンジが施されており、新人バンドのデビュー作にしては手がかかりすぎている素晴らしいレベル。ジェネシス風な壮大なファンタジックサウンドもありながらハードなギターをフューチャーしながらもプログレッシブに展開していくプレイも聴き応え満点で、更にシンセサイザーの音色も潤沢に使って安っぽいが音楽の幅を広げて展開している。

 同時代のポンプロック勢の中では最もロックに寄せたバンドの音で、硬派な面が見え隠れする一本気な主張が強み。ネオプログレッシブ・ロックと呼ぶには案外後世まで残されなかったアグレッシブな姿勢は純然たるジェネシスフォロワーではなく、70年代後期にバンドが結成されていたキャリアの長さから染み付いたロックの色合いか。その分オールドリスナーでも聴けてしまう骨太さが評価も高くなり、音色のチープさを補って余りある芯の太さを持つ。



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フレ
Posted byフレ

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