Camel - The Single Factor
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Camel - The Single Factor (1982)

70年代プログレッシブ・ロックバンドの栄華と衰退を並べてみるとその間ざっと10年程度の期間だ。ビートルズは7年で寿命を終えているので十分に存在意義を果たした期間とも言えるが、そこで終わらずに80年代まであがき続けたために衰退を強く認識する寿命となっている。それでも実際いつ頃に解散したか、活動休止したかを正確には把握していないバンドが多いので、80年代以降はアルバムを聴かなくても良い認識でレコードをコレクションしていた。つまり70年代ロックをひたすら集めては聴くマニアに進んだ要因もこの辺りとリンクする話で、80年代に栄華を迎えるハードロック勢を除けば概ねロックは70年代でひと区切り着いてしまう。
70年代に栄華を誇ったCamelも80年代に入る手前からメンバーの離脱や音楽性の変化を含めて迷走はしなかったものの、時代遅れ感から市場に合わせた作風へと変化して、これまでのシーンを牽引する姿からはやや離れた取り組みとなる。ただ、Camelは最後アンディ・ラティマーがひとりだけ残る形になり、バンドの実権を握ったためにソロ作との境目が曖昧になり、むしろCamelはラティマーの表現手段になっていった。90年代に入ってのCamelは明らかにラティマー主導のバンド名義でしかなく、作風は逆にプログレッシブに進んでいるが低迷の1982年にリリースした「The Single Factor」は小曲軽快ポップ作風が並んだアルバムで、Camel史上でも珍しい作品。この辺り、時代を考慮していた節も見られるし、売るための方策には豪華ゲスト陣を迎えて知名度アップも仕掛けてある。アンソニー・フィリップスにフランシス・モンクマン、サイモン・フィリップスにピーター・バーデンス、デイブ・マタックスなどと知られた名前が並ぶ。
作風はモダンなポップ形式が多く、プログレッシブ・ロックの影も見当たらないが、良質なポップスでもなく、アンソニー・フィリップスのソロアルバムや誰かのソロ作品で聴かれるような美しく構築されたセンスの良い英国ロックが並んでいる風味。その分繊細でひとつづつを丁寧に聴いて初めて深みや想い入れが味わえるような感触で、ポップ化とは異なるシンプル化。ただ、使われる楽器の音色の時代性からポップと大差なく聴けてしまう面もあり、これまでのCamelの世界とは異なる。悪くないどころかかなり良いアルバムは間違いないが、いっその事アンディ・ラティマー名義の方がすっきりとアルバムの良さが分かった気もする作品。

70年代プログレッシブ・ロックバンドの栄華と衰退を並べてみるとその間ざっと10年程度の期間だ。ビートルズは7年で寿命を終えているので十分に存在意義を果たした期間とも言えるが、そこで終わらずに80年代まであがき続けたために衰退を強く認識する寿命となっている。それでも実際いつ頃に解散したか、活動休止したかを正確には把握していないバンドが多いので、80年代以降はアルバムを聴かなくても良い認識でレコードをコレクションしていた。つまり70年代ロックをひたすら集めては聴くマニアに進んだ要因もこの辺りとリンクする話で、80年代に栄華を迎えるハードロック勢を除けば概ねロックは70年代でひと区切り着いてしまう。
70年代に栄華を誇ったCamelも80年代に入る手前からメンバーの離脱や音楽性の変化を含めて迷走はしなかったものの、時代遅れ感から市場に合わせた作風へと変化して、これまでのシーンを牽引する姿からはやや離れた取り組みとなる。ただ、Camelは最後アンディ・ラティマーがひとりだけ残る形になり、バンドの実権を握ったためにソロ作との境目が曖昧になり、むしろCamelはラティマーの表現手段になっていった。90年代に入ってのCamelは明らかにラティマー主導のバンド名義でしかなく、作風は逆にプログレッシブに進んでいるが低迷の1982年にリリースした「The Single Factor」は小曲軽快ポップ作風が並んだアルバムで、Camel史上でも珍しい作品。この辺り、時代を考慮していた節も見られるし、売るための方策には豪華ゲスト陣を迎えて知名度アップも仕掛けてある。アンソニー・フィリップスにフランシス・モンクマン、サイモン・フィリップスにピーター・バーデンス、デイブ・マタックスなどと知られた名前が並ぶ。
作風はモダンなポップ形式が多く、プログレッシブ・ロックの影も見当たらないが、良質なポップスでもなく、アンソニー・フィリップスのソロアルバムや誰かのソロ作品で聴かれるような美しく構築されたセンスの良い英国ロックが並んでいる風味。その分繊細でひとつづつを丁寧に聴いて初めて深みや想い入れが味わえるような感触で、ポップ化とは異なるシンプル化。ただ、使われる楽器の音色の時代性からポップと大差なく聴けてしまう面もあり、これまでのCamelの世界とは異なる。悪くないどころかかなり良いアルバムは間違いないが、いっその事アンディ・ラティマー名義の方がすっきりとアルバムの良さが分かった気もする作品。
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