Renaissance - Time Line
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Renaissance - Time Line (1983)

70年代に栄華を誇ったプログレッシブロックバンドの80年代は迷走の挙げ句に概ね終止符を打つ傾向がここまで多かったと気付かされる程に、多数のバンドが終わりを迎えている。始まりがあれば終わりもあるのは世の常だが、全く悲しくなるくらいどのバンドも時代の波には乗れずに崩壊していく様は、ある種ロックバンドらしい姿として見れば潔いだろう。クラシックとロックを融合して大作傑作を続々とリリースしたクラシカルロックバンドの代表格、ルネッサンスですらポップ化を図り、その才能の高さから容易に大衆ポップサウンドは作れそうだが、ロック的意地を見るならば、軽やかになろうともルネッサンスらしい音の片鱗を残した作風を意識したポップ化だった。
1983年にリリースされている一旦の終焉アルバム「Time Line」はジャケットを見ても終わってる感満載だが、この時点でルネッサンス名義を名乗っているメンバーはアニー・ハズラム、ジョン・キャンプにマイケル・ダンフォードの3人で、他はゲスト扱いだからバンド内でも迷走していた姿が垣間見れる。アルバム冒頭はルネッサンスの意地とばかりに70年代を彷彿させる、荘厳さを打ち出したアレンジを意識した作品で、そこまで80年代に迎合してもいない。ただ、以降の作品は明らかに80年代風のデジタル機材色が出された音色がアルバムを包み込み、新たなる挑戦とも言える反面、個性を放てない魔力に覆われている。それでもルネッサンスはかなり時代と融合しながら個性の発揮に力を注いでいる姿が聴けるので、意外な事にロックらしい。
概ねアニー・ハズラム作曲でアルバムが構成されており、その意味では元々の曲が歌を中心に作られたポップス風味に仕上がる事も当然の姿で、マイケル・ダンフォードは完全に影に隠れてバンドのアレンジやコンポーズに徹している。ジョン・キャンプもいくつかの曲でクレジットが見られるが、アルバム全体を彩る作品の傾向に呑まれているので個性的な姿にも映ってこない。アニー・ハズラムが歌を中心に仕上げればポップス化も不思議ではないが、あのクリスタルボイスの良さがまるで活きてこないビートに載せた歌唱で、バンドの特性は大きく変貌していく事も必然。自分たちの音楽性と武器が時代にまるで合わなくなり、時代に合わせたら自分たちが活かせなくなり、ジレンマに陥っての迷走から解体と分かりやすい姿ながら、本作の意欲的なチャレンジ精神はミュージシャンのあがきとして聴けるアルバム。

70年代に栄華を誇ったプログレッシブロックバンドの80年代は迷走の挙げ句に概ね終止符を打つ傾向がここまで多かったと気付かされる程に、多数のバンドが終わりを迎えている。始まりがあれば終わりもあるのは世の常だが、全く悲しくなるくらいどのバンドも時代の波には乗れずに崩壊していく様は、ある種ロックバンドらしい姿として見れば潔いだろう。クラシックとロックを融合して大作傑作を続々とリリースしたクラシカルロックバンドの代表格、ルネッサンスですらポップ化を図り、その才能の高さから容易に大衆ポップサウンドは作れそうだが、ロック的意地を見るならば、軽やかになろうともルネッサンスらしい音の片鱗を残した作風を意識したポップ化だった。
1983年にリリースされている一旦の終焉アルバム「Time Line」はジャケットを見ても終わってる感満載だが、この時点でルネッサンス名義を名乗っているメンバーはアニー・ハズラム、ジョン・キャンプにマイケル・ダンフォードの3人で、他はゲスト扱いだからバンド内でも迷走していた姿が垣間見れる。アルバム冒頭はルネッサンスの意地とばかりに70年代を彷彿させる、荘厳さを打ち出したアレンジを意識した作品で、そこまで80年代に迎合してもいない。ただ、以降の作品は明らかに80年代風のデジタル機材色が出された音色がアルバムを包み込み、新たなる挑戦とも言える反面、個性を放てない魔力に覆われている。それでもルネッサンスはかなり時代と融合しながら個性の発揮に力を注いでいる姿が聴けるので、意外な事にロックらしい。
概ねアニー・ハズラム作曲でアルバムが構成されており、その意味では元々の曲が歌を中心に作られたポップス風味に仕上がる事も当然の姿で、マイケル・ダンフォードは完全に影に隠れてバンドのアレンジやコンポーズに徹している。ジョン・キャンプもいくつかの曲でクレジットが見られるが、アルバム全体を彩る作品の傾向に呑まれているので個性的な姿にも映ってこない。アニー・ハズラムが歌を中心に仕上げればポップス化も不思議ではないが、あのクリスタルボイスの良さがまるで活きてこないビートに載せた歌唱で、バンドの特性は大きく変貌していく事も必然。自分たちの音楽性と武器が時代にまるで合わなくなり、時代に合わせたら自分たちが活かせなくなり、ジレンマに陥っての迷走から解体と分かりやすい姿ながら、本作の意欲的なチャレンジ精神はミュージシャンのあがきとして聴けるアルバム。
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