Genesis - Genesis
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Genesis - Genesis (1983)

押しも押されぬポップスターになるジェネシスの主要人物フィル・コリンズは一般の世界では普通にソロシンガーのスターの認識だが、ロック界でテクニカルなドラムを叩き、プログレッシブ・ロックを牽引していた。80年代に入る前からジェネシスはメンバー離脱問題からポップ化に向いていたが、80年代に入るとその路線に舵を切り、軽やかなポップを牽引するトリオバンドになった。フィル・コリンズはソロの才能も開花させているが、一方で律儀に昔からの仲間とも変わらずに音楽を共に作り上げている情に厚い人。結果的にどちらもヒットチャートに曲を送り込み皆をハッピーにさせているから素晴らしい。
Genesisが1983年にリリースした「Genesis」。この時点でセルフタイトルアルバムとはよほどの転換期を覚悟した気もするが、全くその意味も分かる程の気合の入った一枚に仕上がっている。自分はジェネシスが好きではなく、何十回も挑戦しては毎回好まない、性に合わない、生理的に合わないと気づくばかりを繰り返しているが、そのおかげで好きではないが全作聴いている。こういうバンドも珍しいが、結果的に聴けているから理解したいとは思っているのだろう。その中で、本作「Genesis」はプログレッシブ時代ともまるで異なり、この後のポップアルバムともまた異なる、ちょうど中間地点にも位置する作品で、ロックとは言わないが、どこか陰を持ちながら音色や曲調はポップに軽やかにしている風潮。ピーター・ガブリエルの作品を聴いているような音の質感とボーカルスタイルを思い起こす所が不思議で、元ジェネシスと言えども似たような作風に進む両者のセンスは親しかったからこそのアプローチか。歪んだギターではないロック、プログレッシブな鍵盤ではないロック、ポップでもないロック、随分と時代の狭間に位置する変わり者のロックの質感がユニーク。これまでジェネシスを多数作品聴いたが、本作ほどしっくりと馴染んだ作品もないかもしれない。邪道中の邪道でもあるが、ふと珍しくそんな奇妙な感覚を味わっている。
もっともリアルタイム時はそうも思わなかったし、後に聴いても同じながら、たまたま今この時代にこの時期に聴いたらマッチした。音楽やロックのアルバムの面白さはそういうタイミングによって聴こえる景色が変わっていく点にもあり、今までの好まない感覚からガラリと景色が変わって見える。明るい曲がなく、悲壮感すら漂っている質感、それでも音はデジタル風味と軽やかで聴かせているが、バンドの真髄だけが浮上してくる美しさ。こんな所で芸術性を感じるとは思わなかったが、素晴らしく力強く、悲しみを伴うアルバム。

押しも押されぬポップスターになるジェネシスの主要人物フィル・コリンズは一般の世界では普通にソロシンガーのスターの認識だが、ロック界でテクニカルなドラムを叩き、プログレッシブ・ロックを牽引していた。80年代に入る前からジェネシスはメンバー離脱問題からポップ化に向いていたが、80年代に入るとその路線に舵を切り、軽やかなポップを牽引するトリオバンドになった。フィル・コリンズはソロの才能も開花させているが、一方で律儀に昔からの仲間とも変わらずに音楽を共に作り上げている情に厚い人。結果的にどちらもヒットチャートに曲を送り込み皆をハッピーにさせているから素晴らしい。
Genesisが1983年にリリースした「Genesis」。この時点でセルフタイトルアルバムとはよほどの転換期を覚悟した気もするが、全くその意味も分かる程の気合の入った一枚に仕上がっている。自分はジェネシスが好きではなく、何十回も挑戦しては毎回好まない、性に合わない、生理的に合わないと気づくばかりを繰り返しているが、そのおかげで好きではないが全作聴いている。こういうバンドも珍しいが、結果的に聴けているから理解したいとは思っているのだろう。その中で、本作「Genesis」はプログレッシブ時代ともまるで異なり、この後のポップアルバムともまた異なる、ちょうど中間地点にも位置する作品で、ロックとは言わないが、どこか陰を持ちながら音色や曲調はポップに軽やかにしている風潮。ピーター・ガブリエルの作品を聴いているような音の質感とボーカルスタイルを思い起こす所が不思議で、元ジェネシスと言えども似たような作風に進む両者のセンスは親しかったからこそのアプローチか。歪んだギターではないロック、プログレッシブな鍵盤ではないロック、ポップでもないロック、随分と時代の狭間に位置する変わり者のロックの質感がユニーク。これまでジェネシスを多数作品聴いたが、本作ほどしっくりと馴染んだ作品もないかもしれない。邪道中の邪道でもあるが、ふと珍しくそんな奇妙な感覚を味わっている。
もっともリアルタイム時はそうも思わなかったし、後に聴いても同じながら、たまたま今この時代にこの時期に聴いたらマッチした。音楽やロックのアルバムの面白さはそういうタイミングによって聴こえる景色が変わっていく点にもあり、今までの好まない感覚からガラリと景色が変わって見える。明るい曲がなく、悲壮感すら漂っている質感、それでも音はデジタル風味と軽やかで聴かせているが、バンドの真髄だけが浮上してくる美しさ。こんな所で芸術性を感じるとは思わなかったが、素晴らしく力強く、悲しみを伴うアルバム。
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