The Road To Memphis

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 ブルース発祥の地となるデルタ地帯のメンフィス。広大なテネシー州を端から端へと駆けめぐるドサ回りバンドを元に描かれていくドキュメンタリー。クライマックスはかつてメンフィスのブルース界を支えてきた男達の共演イベントなワケだが、何というのかな、ブルースって面白い。まずドサ回りをやっているボビー・ラッシュだが、知名度は正直云ってほとんどないし、いわゆるクラブからクラブへと回っていくバンドで、好きじゃなきゃできないよなぁって思うようなものだし、それでもやっぱり一国一城の主なわけで、バンドも喰わせてるんだよね。どこまでも続けていくしかない仕事なのかなぁって云うのが見ていて辛いというか、あまりにも先行き見えないなぁって。でも楽しそうに歌ってるから、羨ましいかな。

 そして本作の準主役…と云うのか、昔は大物ピアノプレイヤー、今は引退して20年、今回メンフィスに戻ってきて再びブルースを奏でることとなったロドニー・ゴードン。う~ん、名前知らないんだけど、15歳でキャディラックを買ったっていうんだから相当売れたんだろうな。50年代のメンフィスでは「ビール通り」っつうところがあって、ここにジャズやらブルースやら、いわゆるクラブ、パブが立ち並んで朝まで音楽を奏でていたという所らしいが今では跡形もなく、時代の変貌を見せつけられる。そしてB.Bキングも故郷に戻りメンフィスを堪能するようだが、どこか活気がない。ライブシーンや再会シーンでは活気があるどころかもの凄いパワーと素晴らしい音を聴かせてくれるんだけど、やっぱ故郷ってのは良い思い出も悪い思い出も甦ってくるからかな。分かる気がするけど。

 そしてアイク・ターナーとサム・フィリップスの再対面。エルビスについての論理とサンスタジオの当時の姿勢など、チェスレコードと同じく白人黒人関係なしに想いを掛けている人間達が集まったからこそ素晴らしい歴史が刻まれたと改めて実感するシーンだ。そういう意味では広範囲B.Bキングがフィルモアでライブを行ったときの感動を語るシーンも時代の産物、正に60年代終盤のロック黎明期と重なる。

 あまりにも映画的で寂しかったのがロドニー・ゴードンがその後すぐに亡くなってしまったことで、出来過ぎじゃないかと思うくらいのタイミング。映画であんなに明るく楽しそうにブルースを歌っていた人が突然という感じで、最後によい思い出できてよかったな、というのはあるけどさ。人はいつ死ぬかわからんから一瞬一瞬を楽しむってのも大切だよね。それからB.Bキングのギターの迫力に喝采。更にアイク・ターナーのピアノではなくギタープレイの凄まじさも新たな発見だったなぁ。やっぱブルースは深いっ。

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フレ
Posted byフレ

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波野井露楠  

ブルースの映像作品、実はあんまりみたことがないんです。
すごーく興味があります!!
これも、とてもよさそうですね!
ぜひ、チェックしなくては!!

2007/06/04 (Mon) 18:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>波野井露楠さん

これら一連のブルースムービーはかなり面白いし刺激的ですのでオススメ。一番いいのは「Red, White & Blues」ですね。ロック好きには入りやすいっす。

2007/06/09 (Sat) 10:40 | EDIT | REPLY |   

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