Boston - Third Stage
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Boston - Third Stage (1986)

アメリカのプログレ・ハードロックと異名を取るバンドの代表格にジャーニーとボストンが常に名を挙げられる。今はその異名も古くなり、更に複雑なジャンルも広がっているので簡単には括れないが、以前は両雄の専門分野で、カナダのラッシュがそれに追随するような位置付けでもあった気がする。自分はどれも苦手なバンドの部類で、ヒットチャートにあった作品は聴いていたが、アルバムをいくつか耳にしてもさらりと流れてしまって引っ掛からなかった。大人になるにつれてあちこちで会話するとこの両雄の知名度の高さは一般人にまで知られているので、随分と売れて良質で聴きやすい作品を作り上げた成功者達だったと認識を改めた。何度も聴き直したり聴く機会を持ったが、自分の印象は相変わらずさらりと流れる美しいロック風味の作品だった。
Bostonの1986年リリース三枚目のアルバム「サード・ステージ」は前作「Don't Look Back」から8年ぶりのアルバムでレーベルも変わってのリリースだが、8年ぶりの新作とは随分と間隔を開けたと感心する。紐解けばデジタル機材を使わずに録音したから、つまり全てをアナログで、人間が一つづつの音を録音したから異常に時間が掛かったらしい。当時はそれすらも素晴らしいと評価されたが、レーベル側はそこまで待っていられるほど余裕はなかったようで、訴訟問題が間に起こっていた。全2作で相当稼いだバンドだから許される贅沢とも思えるが、それだけセールスが期待されていたプロジェクトだったから難しい。
そういった事情がありながらようやくリリースされた「サード・ステージ」はアルバム冒頭から快作ヒットを放つ「Amanda」で文句なし。1986年のアルバムリリース時のヒットシングルながら、曲は1980年に出来上がっていたと言うから、その時間の長さを問われない音楽の質の高さが凄いと思う。6年もお蔵入りしているとどうしてもアレンジや音色も古臭くなるもので、しかもアナログからデジタル導入時期の辺りで新鮮さを保てているとは素晴らしい。今聴いてもその新鮮さは変わらないから、機材の話ではなく、音楽が丹念にひとつづつ念入りに組み上げて作られている証拠。だからボストンはリスナーに支持されて陳腐な消耗音楽にならずに作品が残されているバンド、アルバムになっている。トム・シュルツの天才センスが言われるが、そこにあるこだわりは歴史にも残されて証明されている。
アルバムは美しく洗練された音楽世界で、到底ハードロックと括れない、またプログレ・ハードとも括れない、環境音楽的にすら聴ける構築美で粗野な部分が全く見当たらない完璧過ぎる音楽作品。故にロックの世界ではない。作り上げられた音楽の世界に存在するアルバムだから、ヒットチャートで語る方がおかしいとすら感じる。その高品質さが自分のような粗野なロック小僧には理解しきれないから困る。もっと高尚な世界で語られるべきアルバム。

アメリカのプログレ・ハードロックと異名を取るバンドの代表格にジャーニーとボストンが常に名を挙げられる。今はその異名も古くなり、更に複雑なジャンルも広がっているので簡単には括れないが、以前は両雄の専門分野で、カナダのラッシュがそれに追随するような位置付けでもあった気がする。自分はどれも苦手なバンドの部類で、ヒットチャートにあった作品は聴いていたが、アルバムをいくつか耳にしてもさらりと流れてしまって引っ掛からなかった。大人になるにつれてあちこちで会話するとこの両雄の知名度の高さは一般人にまで知られているので、随分と売れて良質で聴きやすい作品を作り上げた成功者達だったと認識を改めた。何度も聴き直したり聴く機会を持ったが、自分の印象は相変わらずさらりと流れる美しいロック風味の作品だった。
Bostonの1986年リリース三枚目のアルバム「サード・ステージ」は前作「Don't Look Back」から8年ぶりのアルバムでレーベルも変わってのリリースだが、8年ぶりの新作とは随分と間隔を開けたと感心する。紐解けばデジタル機材を使わずに録音したから、つまり全てをアナログで、人間が一つづつの音を録音したから異常に時間が掛かったらしい。当時はそれすらも素晴らしいと評価されたが、レーベル側はそこまで待っていられるほど余裕はなかったようで、訴訟問題が間に起こっていた。全2作で相当稼いだバンドだから許される贅沢とも思えるが、それだけセールスが期待されていたプロジェクトだったから難しい。
そういった事情がありながらようやくリリースされた「サード・ステージ」はアルバム冒頭から快作ヒットを放つ「Amanda」で文句なし。1986年のアルバムリリース時のヒットシングルながら、曲は1980年に出来上がっていたと言うから、その時間の長さを問われない音楽の質の高さが凄いと思う。6年もお蔵入りしているとどうしてもアレンジや音色も古臭くなるもので、しかもアナログからデジタル導入時期の辺りで新鮮さを保てているとは素晴らしい。今聴いてもその新鮮さは変わらないから、機材の話ではなく、音楽が丹念にひとつづつ念入りに組み上げて作られている証拠。だからボストンはリスナーに支持されて陳腐な消耗音楽にならずに作品が残されているバンド、アルバムになっている。トム・シュルツの天才センスが言われるが、そこにあるこだわりは歴史にも残されて証明されている。
アルバムは美しく洗練された音楽世界で、到底ハードロックと括れない、またプログレ・ハードとも括れない、環境音楽的にすら聴ける構築美で粗野な部分が全く見当たらない完璧過ぎる音楽作品。故にロックの世界ではない。作り上げられた音楽の世界に存在するアルバムだから、ヒットチャートで語る方がおかしいとすら感じる。その高品質さが自分のような粗野なロック小僧には理解しきれないから困る。もっと高尚な世界で語られるべきアルバム。
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