Sammy Hagar - I Never Said Goodbye

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Sammy Hagar - I Never Said Goodbye (1987)
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 1987年のSammy Hagerは既にVan Halenに参加して蜜月を過ごしている時期だが、ソロ名義でゲフィン・レコードと契約していた関係上、アルバムをリリースしないといけない状況で、普通はこの辺りがバンドの参加や活動を阻害する要因になるが、サミー・ヘイガーの場合はVan Halen参加による恩恵をゲフィンにしっかりと返す形を選択している。すなわちソロ活動時よりも知名度の高いVan Halenの名前を利用してソロアルバムを売る方策が出来た。この戦法は誰も損しないから最も最適な選択になるが、あまりこういった成功例を耳にしないのは欲と嫉妬に塗れた世界だからか、それとも私利私欲が強いからか。普通に全てが売れれば皆ハッピーになるだけだが、そこまで良い作品が生み出せないジレンマもあるか。

 Sammy Hagerの1987年リリース「I Never Said Goodbye」。まずVan Halen絡みが頭を過るが、その影響は本アルバムではエディ・ヴァン・ヘイレンがベースを弾いている珍しさに尽きるが、Van Halenのライブでも本アルバムからの曲が幾つかプレイされているように、アルバムの質も相当良作で全く充実した内容に仕上がっているから、サミー・ヘイガー全盛期とも言える。さすがに楽曲は全てサミー・ヘイガーが書いているから完全なソロアルバムだが、作風はいつもの如く、もしくはそれ以上にアメリカンで快活で爽快な誰が聴いても心地良さしか残らない清涼感溢れるアルバムで、エディの存在を気にしなくても売れたアルバムだが、エディのベースを気にすると更に面白味を増すし、どの曲もベースプレイがギターほどではないが、普通にロックベーシスト的スタイルではまったく弾いておらず、必ずラインを奏でて曲をドライブさせる旋律を奏でているセンスの良さ。それを聴いてだろうが、ベースが目立つ箇所が普通のアルバムに比べて圧倒的に多く、エディが弾くベースはこういうモノかと納得するクォリティの天才センスが炸裂している。「Eagles Fly」ではエディがギターまで弾いているから彼ら二人にすればVan HalenもSammy Hagerソロアルバムもさほど区別する事なく気分良ければプレイする的な雰囲気で演奏していたと思う。

 早い話、Van Halenの「5150」と「OU812」の間に位置する本作はSammy Hager主導のVan Helenと聴いても良いレベルの曲が揃っている。ただ、Van Halenはエディのギターありきだから、どうしてもその部分は欠ける、つまりそこで差が出せるから成り立つアルバムでもある。サミー・ヘイガーから見れば普通に強烈な音楽パートナーに出会っただけの感覚でソロアルバムに起用しているニュアンスも強く、それでアルバム全体のクォリティが高くなり、演奏の質もエディのおかげでやや異質な取り組み作品になるから二重で美味しい。サミー・ヘイガーの才能の豊かさと歌の素晴らしさも味わいながら、影に隠れていつつもそれ以上に存在感を締めるエディの天才ぶりが強烈。







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フレ
Posted byフレ

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