W.A.S.P - Inside The Electric Circus
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W.A.S.P - Inside The Electric Circus (1986)

1986年リリースのW.A.S.P3枚目のオリジナルアルバム「Inside The Electric Circus」。デビュー時から強烈で猥褻なインパクトばかりが先行してしまい、バンドの持つ本来のポテンシャルの高さやオリジナリティ、音楽性の充実さに目を向けられる前に時代が移り変わり、またバンド内部も分裂した不運な面を持つバンド。リアルタイムの自分も最初は衝撃的で聴いたものの、すぐに飽きてしまったのか他に目移りしたか、さほどW.A.S.Pでなければダメな理由も見当たらず、強烈なビジュアル面も最初ほどショッキングな印象は打ち出せないのも当然なので好き嫌いが分かる前に目の前から消えていった。
ところが、後になるときちんと音楽を聴く諸氏達がW.A.S.Pの、ブラッキー・ローレスの本質的な音楽センスに気づき、アルバムを音楽的に聴いて評価し始めた頃から息の長いミュージシャンバンドと生まれ変わったとは言い過ぎだが、見直されて過去のカタログも再発されて認知されている。当時を知る連中には響かないが、後世には響くユニークな存在になっている。その話を耳にしてから何度か聴くようになり、なるほど確かに深みもあるロックを奏でて、単なる過激なメタルバンドではなかったと気づいた。今回のアルバム「Inside The Electric Circus」は3枚目なので、まだそこまで評価されてはいないが、それでこのクォリティだったかと改めて聴くとそのレベルの高さと個性に感動を覚える。ブラッキー・ローレスの歌声がそもそもダミ声ながらも高いキーを歌い上げており、実はかなり歌が上手い。同時に本作からブラッキー・ローレスはベースからギターに持ち替えてバンドを担っている。元々が後期ニューヨーク・ドールズのギタリストでシーンに登場しているから、当然ギタリストの認識だが、バンドメンバー構成で使い分けていたようだ。ベースもギターもワーロックなので、以前は不思議だったがこの作品からチェンジしていたとようやく分かった。
アルバムが面白い。名盤に相応しいアルバムでも過言ではない。ウケ狙いではHumble Pieで強烈なインパクトを放った「I Don't Need No Doctor」のオリジナルはレイ・チャールズだが、明らかにハンブル・パイバージョンのカバーが超絶にカッコ良く、多分ハンブル・パイよりもカッコ良くモノにしている。幸いレーベルも同じように感じたからか、ライブシーンを切り取ったようなPVが制作されていてその素晴らしさが見られる。同じようにカバー曲を言うならばユーライア・ヒープの「Easy Livin'」もプレイされているが、こちらはさすがにヒープ節をなぞる程度しか迫力は出せなかったようで、コーラスワークも含めてあのままやってみたかった姿を演奏している。それでもかなり似合ったカバーでハマっているが。マニアックに好ましい「Restless Gypsy」のマイナーなメロディがカッコ良く、これがW.A.S.Pの曲だとは到底思えないレベルの美しい作品。ブラッキー・ローレスのマルチな才能の断片はこういう部分で聴けるから面白く、初期衝動のイメージを取り除くのに時間はかかるが、この才能の豊富さは目を向けるべき人。
基本的に英国ハードロック好きで影響を受けている旋律ばかりで、後にThe Whoの「The Real Me」のカバーが話題になるが、オリジナル曲もアルバムを追う毎にアメリカンな作風は薄れて英国ハードロック旋律に近づいてくるから不思議。あのワイルドな風貌とイメージで英国ハードの美しい旋律とアメリカンな野性味が混ざるから個性的な曲調も出来上がる。本作からW.A.S.Pの本来の楽曲の面白さが存分に味わえるようになるが、時代は残酷にもこの類のサウンドを排除していったから運が悪い。

1986年リリースのW.A.S.P3枚目のオリジナルアルバム「Inside The Electric Circus」。デビュー時から強烈で猥褻なインパクトばかりが先行してしまい、バンドの持つ本来のポテンシャルの高さやオリジナリティ、音楽性の充実さに目を向けられる前に時代が移り変わり、またバンド内部も分裂した不運な面を持つバンド。リアルタイムの自分も最初は衝撃的で聴いたものの、すぐに飽きてしまったのか他に目移りしたか、さほどW.A.S.Pでなければダメな理由も見当たらず、強烈なビジュアル面も最初ほどショッキングな印象は打ち出せないのも当然なので好き嫌いが分かる前に目の前から消えていった。
ところが、後になるときちんと音楽を聴く諸氏達がW.A.S.Pの、ブラッキー・ローレスの本質的な音楽センスに気づき、アルバムを音楽的に聴いて評価し始めた頃から息の長いミュージシャンバンドと生まれ変わったとは言い過ぎだが、見直されて過去のカタログも再発されて認知されている。当時を知る連中には響かないが、後世には響くユニークな存在になっている。その話を耳にしてから何度か聴くようになり、なるほど確かに深みもあるロックを奏でて、単なる過激なメタルバンドではなかったと気づいた。今回のアルバム「Inside The Electric Circus」は3枚目なので、まだそこまで評価されてはいないが、それでこのクォリティだったかと改めて聴くとそのレベルの高さと個性に感動を覚える。ブラッキー・ローレスの歌声がそもそもダミ声ながらも高いキーを歌い上げており、実はかなり歌が上手い。同時に本作からブラッキー・ローレスはベースからギターに持ち替えてバンドを担っている。元々が後期ニューヨーク・ドールズのギタリストでシーンに登場しているから、当然ギタリストの認識だが、バンドメンバー構成で使い分けていたようだ。ベースもギターもワーロックなので、以前は不思議だったがこの作品からチェンジしていたとようやく分かった。
アルバムが面白い。名盤に相応しいアルバムでも過言ではない。ウケ狙いではHumble Pieで強烈なインパクトを放った「I Don't Need No Doctor」のオリジナルはレイ・チャールズだが、明らかにハンブル・パイバージョンのカバーが超絶にカッコ良く、多分ハンブル・パイよりもカッコ良くモノにしている。幸いレーベルも同じように感じたからか、ライブシーンを切り取ったようなPVが制作されていてその素晴らしさが見られる。同じようにカバー曲を言うならばユーライア・ヒープの「Easy Livin'」もプレイされているが、こちらはさすがにヒープ節をなぞる程度しか迫力は出せなかったようで、コーラスワークも含めてあのままやってみたかった姿を演奏している。それでもかなり似合ったカバーでハマっているが。マニアックに好ましい「Restless Gypsy」のマイナーなメロディがカッコ良く、これがW.A.S.Pの曲だとは到底思えないレベルの美しい作品。ブラッキー・ローレスのマルチな才能の断片はこういう部分で聴けるから面白く、初期衝動のイメージを取り除くのに時間はかかるが、この才能の豊富さは目を向けるべき人。
基本的に英国ハードロック好きで影響を受けている旋律ばかりで、後にThe Whoの「The Real Me」のカバーが話題になるが、オリジナル曲もアルバムを追う毎にアメリカンな作風は薄れて英国ハードロック旋律に近づいてくるから不思議。あのワイルドな風貌とイメージで英国ハードの美しい旋律とアメリカンな野性味が混ざるから個性的な曲調も出来上がる。本作からW.A.S.Pの本来の楽曲の面白さが存分に味わえるようになるが、時代は残酷にもこの類のサウンドを排除していったから運が悪い。
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