Motley Crue - Motley Crue

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Motley Crue - Motley Crue (1994)
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 メンバーチェンジをしても何らセールスにも音楽性にも影響を及ぼさないケースもあれば、ひとり代わるだけでまるで別バンドのようになる時もあり、時代背景も手伝うしバンドの音楽志向にもよるので一概にも言えないが、当然音は変わる。特にソングライターやボーカリストが代わると大きく変貌するのでひとつの境界線になる。Motley Crueの場合も1994年リリース作「Motley Crue」ではボーカルがあのヴィンス・ニールからジョン・コラピに代わり、またヘヴィメタル暗黒時代のため音楽性もグランジ勢に影響されたような、ダークな世界を意識した作風となり、それこそがヴィンス・ニール離脱要因ともなったが、バンドは舵をそっちに斬って生き残りを賭けたようだ。傍から見れば単なる脳天気なR&Rハチャメチャ集団でしかないが、司令塔のニッキー・シックスは才能とセンスで生き延びている面もあり、しっかりとシーンと自身の方向性を見定めている点は凄い。

 「Motley Crue」はセルフタイトルともなり、自信作か、ボーカル交代劇がありつつもこれこそがMotley Crueと証明したかったか、既に多数作品をリリースしていた後のバンド名タイトルに意気込みが感じられる。アルバム冒頭からこれまでのMotley Crueとは異なるヘヴィなサウンドが刻まれ、ボーカルが入るとまるで印象の異なるバンドのサウンドが飛び出してくるから分かっていても違和感を感じるインパクト。それだけMotley Crue=ヴィンス・ニールの歌声と明るいハードロックサウンドのイメージが強かったかと再認識したので、馴染むまでに時間がかかる。リアルタイム当時はMTVでシングル曲を見て聴いてMotley Crueも終わったと思ってそのまま聴かなかったので、そこまで把握しなかったが、改めて聴けばなるほど、そういう背景のアルバムだったかとじっくり聴いている。

 時代が一周りした後で聴けば、かなりカッコ良く気合の入った、時代に即したヘヴィサウンドを出したアルバムで、Motley Crueでなければ実にハイレベル、ハイテンションなアルバムで高評価を得ただろうアルバム。ニッキー・シックス自身もMotley Crue名義でリリースした点を後悔しているようだが、確かにアルバムの完成度はこの時代を鑑みればかなり高い作品。音楽性だけを取れば過去のR&Rから離れて暗めのハードロックとグランジ調のヘヴィさを掛け合わせて、ボーカル交代劇もプラス要因に働くヘヴィサウンドの確立に成功している。更に幅広い音楽性を収録しているから飽きさせないでMotley Crueの懐の深さを聴かせる、意外性に富んだ深いアルバム。音楽性よりもバンドのイメージや話題性で売っていたから、マイナス方面に働いているがかなり見直すべき作品。






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フレ
Posted byフレ

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