Blue Murder - Screaming Blue Murder: Dedicated to Phil Lynott

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Blue Murder - Screaming Blue Murder: Dedicated to Phil Lynott (1994)
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 ジョン・サイクスのBlue Murderのライブアルバム「Screaming Blue Murder: Dedicated to Phil Lynott」は1994年にリリースされているが、中身は前年12月の日本公演から記録されてて、昔聴いた時結構良かった気がしたので探して聴いている所。バックメンバーは当初のカーマイン・アピスとトニー・フランクリンではなく、マルコ・メンドーサとトミー・オースティンと鍵盤にニック・グリーンの4名体制の時期で、相変わらずボーカルはジョン・サイクスが兼任しているが、強烈なハイトーンも歌いこなしての板に付いたプレイぶりが安定的。アルバムタイトルにフィル・リノットの名前を出しているからどうしても売れ線を狙った、名前にタカったと思われがちだが、Thin Lizzy曲は数曲しかなく、ほかはBlue Murderの曲だからそこまで出さなくでも良かっただろうに。それでも当時の落ちぶれ的には必要な名称だったか。

 冒頭の「Riot」から最後まで心地良い歌声が伸び伸びと響き、一方のレスポールカスタムでしかあり得ないギターの音色が実に素晴らしい。フロント、リア、センターともトーンが美しく鳴り響き、サスティンも素晴らしく効いたテンションでマイルドな音色のソロ。バッキングになればカスタムらしくジャリっとしたやや粒の粗いハムバッキングの音で金属的なニュアンスも出て来て、これぞジョン・サイクスの音とそこまで意識しなくても出てくる特性。ピッキングもあるだろうが、一発で分かる個性はギターもジョン・サイクスも見事。そして目立つのがマルコ・メンドーサの強烈なベースプレイ。的確にボトムを埋めつつギターソロ時のラインプレイも隙間を埋める暴れっぷりで心地良いので、案外好ましい人。ドラムのトミー・オースティンも随分とグルーブしたフュージョンメタル的なスタンスに付いてくるテクニシャンで、演奏だけになるシーンのバンドのプレイぶりの上手さは絶品。このままそういうバンドに進んでも良かった気がするレベル。

 期待のThin Lizzy曲は「Cold Sweat」で始まり、フィル・リノットのあのモゴモゴ声とは異なるジョン・サイクスの普通の歌声で懐かしさだけで特筆すべき音でもないが、「Please Don't Leave Me」はThin Lizzy名義ではないがフィル・リノットとの共作曲で全く哀愁深く美しいギターが鳴り響く涙するプレイが素晴らしい。更に番外編でWhitesnakeの「Still of the Night」をジョン・サイクスの歌声で演奏され場を盛り上げているが、凄い事に違和感なくボーカルもバンドも全て出来上がっている驚き。自分の作品があそこまで売れたのも誇らしい半分悔しい半分だろうか。最後の「Dancin' in the Moonlight」はThin Lizzyのアルバム「Bad Reputation」に収録された曲で、奏でられた瞬間からThin Lizzy、フィル・リノット節が流れ出てくるアイリッシュフレーズでジョン・サイクスの器用なプレイとバンドの妙が絡み合い、フィル・リノットの霊が舞い降りてくるような演奏で素晴らしい。

 リリース年やハードロック熱の鎮火もありあまり正当に評価されなかった時期だが、ライブアルバムの中ではかなり良質で演奏も素晴らしい作品に位置する。ジョン・サイクスのギタートーンも美しくバンドの演奏も良いし、もう少し売れてても良かったと思うが、今の評価はどうだろう。ナイスな名盤です。





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フレ
Posted byフレ

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