Whitesnake - Whitesnake (30th Anniversary Edition)

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Whitesnake - Whitesnake (30th Anniversary Edition) (1987)
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 1987年を記念する名高いアルバムにホワイトスネイクの「Whitesnake」が挙がる。チャートアクションでマイケル・ジャクソンの「Bad」に次ぐ2位を記録する異常な売れ方を果たした紛れもないHR/HMのアルバムで、比較対象が凄い。バンド名=プロジェクト名として知られるホワイトスネイクだが、本作も残忍な事にレコーディングメンバーはアルバム発表前に全員解雇され、リリースされる頃には全て異なるメンツで揃えられている異常な事態。当時からその模様は全てではないが情報が出てきたが何やらさっぱり分からなかった。結局誰がギター弾いてるかと思えば、アルバムでは全編ジョン・サイクスで、カヴァデールと共作もしているくらい円満な状況と思われたが、後任はヴァンデンバーグとヴィヴィアン・キャンベル。ヴィヴィアン・キャンベルはその後すぐに脱退しているので結局エイドリアン・ヴァンデンバーグになるが、それもまたすぐにスティーブ・ヴァイに替わっているから把握不能だった。ベースもニール・マーレイからルディ・サーゾへ、ドラムはエインズレー・ダンバーからトミー・アルドリッジへ交代している。

 更にアルバムはアメリカと日本盤の曲順とヨーロッパ盤では曲順も収録曲数も異なり別アルバムに近い様相で、かなり情報が混乱していたが今のようにネットもないのでレコード屋へ行って目の前にあるレコードのクレジットを見るのみ。その頃は目の前のレコード以外のバージョンがそこまで異なっているとは夢にも思わないから普通はそれが全てだ。特に国内盤レコードは神のように絶対でもあり、ライナーに詳しく書かれている事が全てですらあった。当時Burrn氏は既に発刊されていた気がするが、毎月買うほどのファンでもなかったし、とにかく後になれば意味不明のアルバムだったが、当時はPVで出てきた「Still of the Night」の如何にもなルックスに他のLAメタル勢との差を感じずに見ていた。2007年に30周年記念盤がリリースされ、デラックスエディションでは未発表ライブとレアテイクスを併せた3枚組もリリースされているが、80年代らしい音のミックスが強調されたリマスター盤を聴くと、それだけでゴージャスな時代だと感じるほど音色に派手さがある。それこそホワイトスネイクらしいが、改めて聴けばジョン・サイクスもホワイトスネイクをここまでヘヴィメタル色に染め上げた功労を称えるべき。見事に金属音とヘヴィなリフで彩り、リバーブも時代の味わいを大いに詰め込んで、ドラムの音処理も同様ヘヴィメタル風味が力強く伝わってくる。楽曲のスタイルは案外オーソドックスなパターンだが、ギターのフレーズの凝り方はセンスの賜物。そこを心地良くデヴィッド・カヴァデールが緩急自在にハイトーンもブルージー調の歌声も併せて歌ってくるから幅広い。

 「Still of the Night」がここまでLed ZeppelinしていたとはPVの魅せ方に騙されていたか。ギターリフのキメ方も聴いて妙なリズムに聴こえるパターンも、途中の静かな展開から一気に駆けていく様子も、更にデヴィッド・カヴァデールの歌声のハイトーンの出し方と鼻にかかるロングトーンのロバート・プラント化は確かにモノマネと言われてもしょうがないか。他の曲がある種の個性を出し尽くした曲ばかりなので、余計にこの曲が突出した異質な作風と聴けるので悩ましい。ホワイトスネイクはギターリフが強烈な曲が目立たないし、そういうバンドでなければ特色はどこにあるかを考えないと出て来ない。それでもあまり目立たず、普通のロックをヘヴィにしてデヴィッド・カヴァデールが歌えばそうなる模様。だから一般のヒットチャートでも讃えられるレベルに進んだと思われるが、どこまで聴いてもその人気の理由が分からない。もしかしたらデヴィッド・カヴァデールのカッコ良さ、即ちルックスの良さもあるか。ただ、それでも本作のテンションの高さと出来映えの良さは普通に凄い。時代を経て聴いた時の名盤にはならないが、息を呑むほどの勢いは感じられる。アルバム制作時の充実度を考えると、そこで解雇されていったメンバーも無念だったと思われるが、ビジネスがシビアなバンド。だからこそ売れた。





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フレ
Posted byフレ

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