Night Ranger - Big Life

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Night Ranger - Big Life (1987)
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 Night Rangerは普通にハードロックバンドでギターテクニシャンが二人いてどちらも目立つ個性的なプレイヤーのイメージで、決してバラードバンドでもAORバンドでもなかったが、時代を振り返ると結果的にそういうバンドだったと見える。同時代をそのまま聴いていた自分からはアルバムありき、シングルはその後にカットされた曲でしかなかったからハードな曲を好んでいたし、聴いていたからバラードばかりを聴く事もなかった。だからそういうバンドに仕立てられていたと聞いてもピンと来ないが、言われてみれば「Sister Christian」の後は「Sentimental Street」が流れてた気がする。その前の「You Can Still Rock In America」や「Don't Tell Me You Love Me」がハードでカッコ良かったからその印象が強い。

 1987年にリリースされたNight Rangerの4枚目のアルバム「Big Life」はそれまでのセールスからすれば失敗作と言われたアルバムで、自分は既にこの頃聞いてなかった時代。この手のバンドに飽きてしまって、もっと深みを追求する旅に出ていた時期で、イケてないAORはチャラチャラしてて興味を失っていた頃。決してそうでもなかったと思うが、当時はその印象でやたらアメリカンな明るいイメージが好きじゃなかった。それまでは曲が良かったので割と好きだったが、ここに来て80sそのままの音色の作品が多かったか、その印象があるのも当時少しは聴いたからか。記憶に残っていないので改めて聴いているが、あまりにもキャッチーでポップで歌メロに流されている曲が多く、また静かな曲の気合も強く、求めていたハードロックバンド像とは異なっている。一方ギターだけに耳を傾けると、ブラッド・ギルズの特異で個性的なアーミングを混ぜたプレイは結構な頻度で登場するのでNight Rangerをハードロック路線に残そうともがいている姿にも聴こえてくる。更にジェフ・ワトソンの8フィンガースタイルもよく聴けば割と使われていて、これまでの派手な使い方とは変わっているようだ。

 メロディは良いし、キャッチーでギターソロも耳障り良く普通にカッコ良いと聴けるので、水準レベルは軽くクリアーしているさすがトップクォリティのバンドのアルバム。ところが勢い余るカッコ良い楽曲に乏しい、もしくはバラードに偏ったために飽きられてきた、更に時代は徐々に暗い闇が差し込んでいるのにこの明るさを売りにするのも難しかったか。決して悪くない曲が並んでいるので、今なら時代を無視して聴ける作品。ロックは難しい。ほんの少しのタイミングを逸しただけで、ちょっと方向性を戸惑っているとすぐに揚げ足取られる世界。ロックと言うよりもポップ音楽界の世界ではスキを見せては生き残れないか。





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フレ
Posted byフレ

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おーぐろ  

バラードが売れるとそっちに寄せちゃうバンドが多かったですよね 
モトリーも「Home Sweet Home」がウケたあとはアルバムにバラード入ってるし 

このアルバムは映画『摩天楼はバラ色に』にも使われた
「The Secret of My Success」とかいい曲もあるのに
なんとなく何処に向かってるのか見えない感じで消化不良感 
個別に聴くといい曲があってもアルバムとしてまとまりがないとイマイチという例に

2021/08/01 (Sun) 15:43 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おーぐろさん

時代が飽和状態を作っちゃったのでしょうね。
悪くないのに、ってのは。

モトリーは真逆に突き抜けたから生き延びたのかな。

2021/08/01 (Sun) 18:19 | EDIT | REPLY |   

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