Van Halen - Live: Right Here, Right Now

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Van Halen - Live: Right Here, Right Now (1993)
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 70年代後期に出て来て80年代でブレイクして時代の波に乗るどころか時代の波を作り上げたバンド、Van Halenはデイヴ・リー・ロスの脱退をモノともせずに80年代を乗り越えて90年代へ突入した珍しいパターン。最初期からデイヴ・リー・ロス脱退までの方が音楽的には深みがあって、その分暗めのマイナー調が重厚だった。サミー・ヘイガー加入後の垢抜けたアメリカンなサウンドが時代を牽引してスタジアムロックバンドの風格も出したからアメリカでウケたし、世界中で持て囃された。まだ若かりし頃の自分はデイヴ・リー・ロス時代の方が意味も分からなかったくせに良かったと言い張り、サミー・ヘイガー時代はダメだと外してた。

 1993年Van Halen初のライブアルバム「Live: Right Here, Right Now」がリリースされている。1991年リリースのアルバム「F.U.C.K.」ツアーの模様が記録された2枚組で、かなり充実した内容と当時から知られていたが、耳にする事なく過ぎ去っていた。いつしかそこまでサミー・ヘイガー時代への偏見もなくなってから聴いたアルバムだが、その時の印象のVan Halenは、正確にはエディは時間が経つに連れて天才から超人になり、既に人間業を大きく離れたギタリストになっていた。ここまで来るとギターを聴いて弾きたいとも思わず、天空の超人にしか聴こえないから、ある意味音楽に集中して聴けるようになり、ギターだけでなく楽曲の出来映えが好みを左右する。Van Halenに良い曲キャッチーな曲を求める事自体ナンセンスだが、全米制覇のバンドだから当然それはあり、聴けば当然そのレベルの曲ばかりでハイレベル。しかもライブアルバムだからほぼベスト選曲となり、サミー・ヘイガー加入後作品が中心ながら幾つかの過去曲とサミー・ヘイガーソロ曲も交えてのステージは圧巻。

 やや過剰な臨場感を出した音色が気になるが、バンドの迫力とパワフルさとロックバンド的エネルギーは絶大で、そこに作品の良さと孤高のギタープレイも加わってなるほど良いライブアルバムに仕上がっている傑作。往年のVan Halenファンにはイマイチかもしれないが、サミー・ヘイガー時代を普通に聴けるリスナーなら問題なくカッコ良いライブ。古いリスナーの自分でも終盤の怒涛の楽曲が続く辺りはさすがにノリも良く臨場感も凄くギターにも痺れまくるのでぐうの音も出ない。The Whoのカバー曲「Won't Get Fooled Again」ではあのシンセサイザーの音色をエディのギター一本で出している器用さ、その前の「316」は圧巻のギターソロが脳天直撃くらいに聴けてぶっ飛ぶし、更に「Jump」だ。ボーカリストの違いなど大した事でもないくらいに聴いておけば良かった。しかも田舎臭いデイヴ・リー・ロスではなく、天性のミュージシャン、サミー・ヘイガーと知っていれば偏見もなかったはず。今更ながらVan Halenの底力をまざまざと知ったライブアルバム。





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フレ
Posted byフレ

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