Alice Cooper - Raise Your Fist & Yell

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Alice Cooper - Raise Your Fist & Yell (1987)
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 アメリカのミュージシャンは変わり身が早い。職業意識が強いとも言えるが、自身の音楽性が売れるならそれだけをやり続ける強さもあれば、下火になれば即座にシーンを見渡して自分の入り込む隙間を見つけてねじ込んでいく時もある。それが自分のこれまでの音楽性と相見えなくても親和性があれば突き進む。キッスのヘヴィメタル化は正にそんな代表だが、アリス・クーパーも同じく低迷期からの脱出策にヘヴィメタルをテーマにした。70年代のショックロックのインパクトはすっかりと飽きられ、大道芸人的なショウも受けなくなり、どこに進むべきか方向性を見失っていった80年代初頭までのアリス・クーパーはその頃の作品を聴けば、全く迷走状態が手に取るように分かる有様。確かその後に映画出演か映画サントラをきっかけに、また後の世代への影響からオリジネイターとして名が挙がるようになり、MCAレコードと契約してからはヘヴィメタルを武器にしてシーンに復帰。

 1987年にリリースされた「Raise Your Fist & Yell」はその第二弾となる作品で、当時から知られていたマッスルギタリスト、ケイン・ロバーツとタッグを組み、またキップ・ウィンガーも参加しての強烈なヘヴィメタルアルバムに仕上がった。冒頭から何を聴いているのか不思議になる程にアリス・クーパー色は皆無で、金属的なギターが鳴り響くヘヴィメタルが聴ける。ただ、アリス・クーパーの歌声はハイトーンメタルボーカルではないため、存在感溢れたボーカルがズシンと真ん中にあるから、シーンの中でも個性を放っていた。更に70年代から変わらないキャッチーなメロディとオドロオドロしい楽曲とメロディセンスはアリス・クーパー独特のスタイルで、そこにヘヴィメタルで味付けしていると聴けば、アリス・クーパーらしいアルバムにもなる。こちらは全曲アリス・クーパーが曲作りしているので、外部ライター依存ではなく、その分リスナーはアリス・クーパーのサウンドの変化をどう捉えるかだけで良かった。

 その変化も過去からすれば真っ直ぐに進化しているので、そこまで違和感もなく素直に受け入れられたが、あまりにもヘヴィメタル、テクニカルヘヴィメタルになりすぎて好き嫌いは分かれただろう。自分はこの頃前作も含めてあまり聴かなくなったし、70年代の作品の方を何度も聴き漁っていた時期でもあるからかなり疎い。ただ、MTVでも目立ってたし、ケイン・ロバーツのインパクトも絶大だった。





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フレ
Posted byフレ

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