To Cast A Shadow - All Alone

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To Cast A Shadow - All Alone (2007)
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 耽美的な雰囲気の中で浮遊するか弱き女性の歌が流れる姿をメランコリックで美しいゴシック要素と捉え、背景は歪んだギターがスロウなリズムをバックにムードを出しながら楽曲が暗く展開していく姿がいわゆる嬢メタル、ゴシックメタルのスタンダードなスタイル。メランコリックなメロディであれば更にその雰囲気が強調され、美貌であれば持ち上げられる要素が増えて男世界のヘヴィメタル界で女王様的な存在に持ち上げられる。この世界を聴いて不思議に思ったのは、ここまでヘヴィメタルをバックに歌える女性が数多いものかと、また歌唱力も表現力も高い女性がメタルの世界に参加する理由もそれぞれだろうと。入ってきたからこそ世界に君臨した女性ボーカルは数知れず、結果的には世界が広がった話だが、身近で考えてもメタルを聴く女性も多くないし、ましてや歌い上げる、さらにゴシックな世界風味の耽美感を表現する女性ボーカルなど皆無だから時代は進化した。

 To Cast A Shadowと意味深なバンド名を持つノルウェーのバンドの2007年リリースファーストアルバム「All Alone」。冒頭から耽美的で憂いさを歌い上げる愛らしい歌声が魅力的なカミーラ嬢が圧倒的にアルバムを支配する。時代もあるが、完全にイメージするゴシックメタル、ゴシックの世界を味わえる傑作アルバムで、ゴシックメタルとはどういうジャンルかを如実に表した作品。その分、どこかで聴いた事あるような楽曲で占められている点はやむを得ないが、最初にこのバンドと出逢えば忘れられない作品になるだろう。今となってはこういうムードを出すバンドを挙げるのも難しくなっているので、久々の出会いは嬉しい感触。ほとんど女性ボーカル作品として聴いているから楽曲の短さやアルバムの全9曲40分のサイズも適度で聴きやすい。

 一言で書けば寒い音を感じるアルバム。暗めでしっとりと、歪んだギターではあるが耽美的なボーカルがその方向性を定義付け、雰囲気だけで持っていく感触。その分バンドの実力や音楽性の進化が難しくなり、後のアルバムではメンバーチェンジもありながら、音楽性も変化している。ある種時代が生んだ偶然の一枚にも位置付けられるが、レベルの高さは素晴らしい。





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フレ
Posted byフレ

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