Philip Lynott - The Philip Lynott Album
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アイルランドのダブリンにはロッカーの銅像がある。日本でも海外でもそうそうそんな人はいないワケで、如何に英雄視されているのかがよく分かる…もしくはアイルランドという音楽国の象徴なのかもしれない。だからこそ若者からある程度の年齢の人間まで、または国民的な人気があるのかもしれない。コアーズという若い姉妹バンドが「アンプラグド」アルバムでフィル・リノットの1982年のソロ作「The Philip Lynott Album」に収録されていた「Old Town」をカバーしてなかなかの好評を得たものだが、年齢的に見ても彼女たちが幼少の頃にリリースされた作品だったハズで、そんなのが今時の若者にカバーされてしまうと言う程メジャーな人だったのかと驚いたモノだが、まぁ、そういうものなのだろう。しかしフィル・リノットのアナログ時代のレコードはなかなか入手できなくて苦労していたのに、現地ではいとも簡単に聞けたものなんだなぁと、音楽の街ダブリンを羨ましく思った記憶がある。時代はCD時代、まぁ、何でも再発されるようになってフィル・リノットの作品も今や簡単に手に入るってもんだ。全く良い時代。
とりあえず最初のソロアルバムは1980年リリースの「Solo in Soho」で、さすがにシン・リジィが現存していた頃なので当然ながらシン・リジィの空気が充満したソロ作に仕上がっている。ただ、やっぱりハードさはなくてもう少し実験的というかポップ的というか丸みを帯びた印象の作品だね、これは。もちろん傑作ではないけど悪くはなくて、フィル・リノットの楽曲らしさはたっぷりと出ているアルバム。そしてやっぱり人気の面でも音楽面でも「らしさ」が出ているのが1982年リリースのセカンドアルバム「The Philip Lynott Album」。シン・リジィが暗礁に乗り上げた頃に作られた作品で、今じゃ豪華ゲストを迎えてのアルバムとして云われる面子が顔を揃えている。
ミッジ・ユーロ、ヒューイ・ルイス、マーク・ノップラー、もちろんリジィの面々などなどだ。意外な面子が揃ってる気もするけど、どれもこれも彼のアイルランドに於ける音楽のバックアップ体制の結果から導かれたものでその活動背景を知っていると不思議はないんだよね。ま、一見不思議だけど。セカンドアルバムの音的にはちょこっと熟した感があるしキラリと輝く名曲も「Old Town」を始め、ミッジ・ユーロの「イエロー・パール」もあってなかなかホロリとくるロックアルバム。もっともこの曲はファーストにも入ってるけどさ。しかしまぁ全体的かなりポップな路線に走っている感があってロッカーとしてのフィルっていうか、新たな領域に挑戦っていうアレンジ。メロディラインはやっぱりフィル・リノット。
それにしてもこの人とゲイリー・ムーアの友情ってのはホントに不思議なモノで、元々スキッド・ロウの頃から一緒にプレイしていたし、シン・リジィになってからも1974年、76年にヘルプでツアーでギターを弾いている。その後78年にはご存じ「Black Rose: A Rock Legend」という名盤でゲイリー全面参加、と云うか加入したのにすぐに脱退してるし…、かと思えばもちろん83年の解散ライブには参加しているし、その後も85年には一緒に滅茶苦茶かっこいいシングル「Out in the Fields」を作って結構売れたりね。その後フィルは他界しちゃったけど、不思議な友情だよなぁ、こういうのって親友なんだろうと思う。
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