Pale Forest - Transformation Hymns

Pale Forest - Transformation Hymns (1998)


　1998年にリリースされたノルウェーのPale Forestのファーストアルバム「Transformation Hymns」の衝撃が凄かった。それなりに北欧のメランコリック的サウンドも聴いた気になっていたが、リアルタイムでその頃に追いかけてはいなかったので、そもそもPale Forestを知らなかったし、後に嬢メタルにハマってからも情報量が多すぎて見過ごしていたから未着手状態だった。少々前からこの辺りがまた気になっていたので以前に聴き漁ったバンドやアルバムも含めて落ち着いて聴き直していた際に発掘したバンド。当時あまりにも一気に嬢メタル周辺を纏めて聴きすぎたのでマイナーどころまで整理整頓出来ていなかったのが失敗。

　1998年でこの音とは驚く程の進化。20数年後の現在で聴いても斬新なサウンドが詰め込まれている奇跡の一枚かもしれない。Karnataka周辺のネオプログレ関連に近いサウンドなので、今では唯一のバンドサウンドでもないが、それでもこの頃にこの浮遊感は驚く。嬢メタル、ゴシックメタルの流れで知ったバンドなのでその類かと思って聴けばそこまでには至らず、むしろアンビエントでコケティッシュな、アンニュイな可愛らしきボーカルでモード的旋律を歌われるので全く地に足着かないまま歌が浮遊する。メタルの味わいはほとんど感じられず、曲のアクセントで歪んだギターが出てくるし、バンドのルックスはメタルっぽいのでそのジャンルに属されるが、今の時代の耳で聴けばまるで異なるサウンド。

　No SoundやPineapple Thief的な印象もある耽美的雰囲気にキュートな歌声、硬質なギターのアルペジオや効果音にも彩られて淡々と楽曲が進む。ただ、音数は多くないので至ってシンプルなバックサウンドでその雰囲気が構築されている。本作以降バンドはアンビエント路線に進むのでその手前のサウンドと言われれば大変よく理解出来るが、バランス良くその不安定な浮遊感が舞っている心地良さが素晴らしい。まだどのように処理出来る音か分かっていないので何度か聴き込まないといけないが、民族メロディーも持ち合わせた無国籍感たっぷりで不思議な世界へ誘ってくれる素敵な作品。

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