Iggy Pop - Free

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Iggy Pop - Free (2019)
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 Stoogesから50年後、そのシンガーIggy Popの2019年新作タイトルは「Free」だ。世間に自由を魅せていたイギーは全く自由でなく、自由を演出していたのか、ここで初めて自由を味わっている作品をリリースと。深すぎる人の生き様。アルバムに耳を通してみればこれまでのイギー・ポップのイメージ全てを覆す最高に素晴らしいアルバム。デヴィッド・ボウイが最後の最期まで新しいサウンドの創出にこだわって作品を残したが、イギー・ポップがその残り香を引き継ぎ、自らの作品で同じように生き様を感じさせてくれる。音楽は信頼できる陣営に任せ、歌詞すらも他人に任せ、単なるシンガーとして作り上げた作品とも思えるが、その実、そこまで他人に丸投げしておきながらアルバム全てがイギー・ポップ色にしか染められていない凄さ。まさかイギー・ポップがそのような作品を作り上げるとは、またそれでもイギー・ポップらしさが貫かれるとは天上のボーカリストならともかく、パンクの神がそれでは畏れ入る。しかも作風はどうしてもボウイの最期を彷彿させる、メロウなトランペットが主となるから心に染み入る。

 低音バリトンボイスの個性、凛とした毅然としたポリシーの貫かれた歌声、単語に惑わされない圧倒的な言葉の重みの伝え方、息遣いの間合い。そのようなイギー・ポップらしさが改めて浮き彫りにされ、物静かですらあるアルバムサウンドで際立った存在感を放つ。音楽面でもかなり振り切った冷酷なサウンドを紡ぎ上げているから要するに相性の良いサウンドと歌声のマッチングが出来ている。いつしかイギー・ポップがジャズに近づいたサウンド作りになり、驚きを持って迎え入れられたが、その世界でここまで進化を続けるとも驚いた。全くミュージシャンらしい進化、ボウイの影響がこんな所で出て来ているなら喜ばしい姿。意外性に驚き、そのハイレベルさ加減に驚き、次はアルバムの良さが気に入り、更にサウンドの彩り具合とトランペットの素敵さに酔い痴れ、ハマり込んでみればミニマルミュージックにバリトンボイスにトランペットとこれまで見当たらなかった新世界の音楽を届けている。素晴らしい。

 もうロックを演じるのも良いだろう、好きに使ってくれよ、それでも自由にやればイギー・ポップになるから、と言わんばかりの捨て身攻撃はこれまでもステージで散々捨て身を行っていたから、少々異なる捨て身を始めてみたら痛くなく心地良く自由に音楽が出来上がった。ひとつのパンクの世界と捉えても良い悟りの境地に於けるスタイル。凄い。







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フレ
Posted byフレ

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