Etta James - Rocks the House

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Etta James - Rocks the House (1963)
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 古い音楽は録音する機材も技術も乏しかったから下手な加工も出来ず、アーティストやプレイヤーの演奏も歌も生々しく無加工のまま記録されている。言い換えれば地力がきちんとしてなければ一発録音にも耐えられなかったし、音楽的なセンスもなければ音の狂いを直せなかったから緊張感も違うし修正補正する才能も必要だった。録音側も音楽的センスに加えてマーケティングとの感性と新しい取り組みやチャレンジへの許容と発展への取り組みがなければ諸共崩れ去っていく運命だった。ましてや60年代から70年代にかけての音楽の発展性はジャズも含めて幅広く熱い時期で残された音源を聴けば音楽ジャンルはともかく、熱気やテンションの高さだけでロック的エナジーを感じる、即ち音楽でパワーを発散させるスタイルは変わらない。

 Etta Jamesの1963年リリースのライブアルバム「Rocks the House」はチェス・レコードで制作されているが、この年の9月下旬の二日間のライブから収録されている。1963年だからまだビートルズが出てきたくらいの頃、既にこの熱気ムンムンのライブレコーディングだ。ミシシッピの小さなハコで行われたライブの模様から抜粋されているようだが、それこそビートルズもストーンズもジャニスも聴いていただろうと想像出来る凄まじいライブアルバム。エタ・ジェイムズ自身の音楽性は固定化されていないが、チェス側が売り出す際に、当初は案外ポップスシーンでも通じると見た面もあり、ストリングスバックの大人し目の楽曲もトライさせているが、ただひたすらにエネルギーを発散する歌い方のエタ・ジェイムズにはやはりこういったぶっ飛ぶ迫力をそのまま歌い上げるブルースソウルファンク的サウンドが似合う。スタジオ盤とはまるで異なる全くロック的ライブ。奏でられている音楽はブルースやソウル、モータウンからもあり、ロックでも有名な曲では「Money」「I Just Want to Make Love to You」「Woke Up This Morning」「Sweet Little Angel」あたりか。曲としては知られているし、比較で聴いても面白いが、そもそも最初からのライブの臨場感と盛り上げ方が凄いので、曲の認識度よりもエタ・ジェイムズの凄さが前に来る。

 ジミー・ロジャースの曲ではブルースギターをDavid T Wakerが奏でて職人芸を聴かせてくれるし、バックはその筋ではほとんどジャズからソウル、ロックまで奏でられる面々で揃えられ、完璧にエタ・ジェイムズをサポートしている。エタ・ジェイムズも自由自在に歌い上げ、時にはシャウトするブルースシンガー、時には涙をそそるソウルシンガー、ジャズボーカリストにも変貌しながら圧倒的なロックスタイルでライブを作り上げている。1963年にミシシッピの田舎で繰り広げられていたライブがここまで凄まじいとは恐れ慄くレベル。アメリカの根底にあるブルースやソウル、黒人音楽シーンの深みはとてつもない。この時代からブルースもジャズもソウルもロックも関係なくプレイしていた姿を聴けば後年のロックなど、全てモノマネだと言い切る姿勢もよく分かる。それほどにロック目線からして脱帽する凄まじいライブアルバム。







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フレ
Posted byフレ

Comments 2

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おっさん  

このライブ盤を初めて聴いた時はぶっ飛びました。

2021/06/29 (Tue) 06:15 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>おっさん

うん、そう思います。自分もそうでした。

2021/07/02 (Fri) 18:00 | EDIT | REPLY |   

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