Jimi Hendrix - Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix
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Jimi Hendrix - Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix (2004)

Prince漁ってて見つけてしまったジミヘントリビュートアルバム「Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix」。2004年のリリースながらさほど意識しなかったようで聴いていなかった。ジャケットは見た事あるので、知ってたとは思うがソウルメンのカバーなのでその頃は食指が動かなかったらしい。自分の趣味も年齢を重ねると広がったり抜けていったりして、特に黒人系は以前はまるで興味を持てずにいたので聴かなかったが、いつしかあのグルーブや強烈なファンキーさには魅力を覚え、また甘いソウルフルなスタイルも聴くようになった。その経験を積みながら今聴くジミヘントリビュートアルバム「Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix」は随分とヘヴィにドロドロの濃さを味わっている。中にはスティングやクラプトンも参加しているので、決して濃いだけでもないが、概ねブラックなソウルメン達がヘヴィにアレンジして独自の色をたっぷりと付けての魅力的な作風ばかり。
Musiqの「Are You Experienced?」からもうヘヴィにウネウネしたアレンジで、原曲そのままでありながら独特のグリグリさが心地良く楽しめる作風がカッコ良い。Musiq自体を知らないが、かなりのセンスの持ち主のようだ。そしてSantanaの「Spanish Castle Magic」は期待以上に激しく素晴らしくヘヴィ、更にスピーディにソリッドに白熱した疾走感溢れるプレイで他を圧倒するサンタナにしては珍しい曲調。ここまでヘヴィに歌ってギターをロック的に弾きまくっている姿はサンタナ自身のアルバムではまず聴かれないが、当然やれば出来ると言わんばかりに炸裂している。ギターの音色もジミを踏襲するかのようなシングルコイル的サウンドで完全に成り切って弾いている感触。同時代に生きたギタリストならではの味を魅せつけた一曲。その疾走感からガラリと雰囲気を変えてのプリンスの「Red House」ならぬ「Purple House」は、どれだけブルースをアレンジしてプリンス風にするかと思えば、見事にプリンス色満載のミネアポリス風味たっぷりのファンキーサウンドで驚く。そこにギターはジミヘンマインドを目一杯詰め込んだヘヴィプレイを奏でるプリンス特異のアグレッシブな姿勢だから恐れ入る。原曲と全然異なるのに何度も聴きたくなる妙な質感がさすがの一言。全くプリンスもジミヘンに成り切って弾いているスタイルが素晴らしい。ガラリと変わって清涼飲料にも聴こえてくるスティングの「The Wind Cries Mary」。これだけの濃い連中に混じるととにかく聴きやすいカバー曲に聴こえるが、スティングらしい感覚に加えてギターのアグレッシブさはジミヘンに対する愛だ。
ファンクバンドのジミヘンサウンドはどこまで突き進められるかと本アルバムで一番楽しみな面が聴けるEarth Wind & Fireの「Voodoo Child (Slight Return)」は期待を一ミリも裏切らない完全にEW&Fの世界。ある種普通に聴こえるのも不思議だが、それだけジミヘンの原曲が黒人スタイルにマッチしているか分かる。同じく強烈な Bootsy Collins (featuring George Clinton & the P-Funk All-Stars)の「Power of Soul」は最早何聴いてるか分からないくらいに完全なファンクソウルそのままのアレンジで、ジミもこれは喜んだに違いないレベルの超絶アレンジ。さすがP-Funk連中の集大成とばかりに原曲をぶち壊し、本筋だけを残してプレイする凄まじさは圧巻。ブーチーの圧倒的存在感に加えてジョージ・クリントンの強烈なスタイルがアルバムのカラーを大きく変えている凄さ。次のクラプトンの「Burning of the Midnight Lamp」が息抜きのスタンダードなプレイに聴こえるほどだが、実際はクラプトンもかなり気合の入った想い入れたっぷりのスタジオ録音バージョンで珍しい残され方らしい。ジミの歌とリフもこうしてかっちりとプレイされると曲の良さが引き立つ感触。一方スウィートソウルスタイルで新たな一面を引き出したレニクラの「Have You Ever Been (To Electric Ladyland)」も斬新な発想のアレンジで驚く。ダニー・ハサウェイのような歌声でこの曲を奏でるとは意外すぎたが、見事な歌モノにアレンジし直したセンスの賜物。また、気になっていたペダルスティール・ギターを艶かしく弾きまくりハードにプレイするRobert Randolphによる「Purple Haze」も彼の個性そのままにアグレッシブにプレイされているので、新たな魅力が弾け出ているロック好きには堪らないプレイ。
ジミヘンフォロワーとして知られているVelvert Turnerによる「Going Down」は僅か45秒ながら良い味わいぶりを発揮している。続いて出てくる見事なソウルボイスのChaka Khan & Kenny Olsonによる「Little Wing」はこれまで聴いたどのバージョンとも異なる完全に歌唱のみで聴かせるスタイルに変貌している。この名曲を聴かせるなら歌だと言わんばかりのチャカ・カーンの凄まじさ、それに応えてのKanny Olsonのギタープレイが超絶最高に素晴らしい。更に聖歌コーラスだけのアレンジに等しい斬新なスタイルでSounds of Blacknessの「Castles Made of Sand」も原曲は何処へやらの革新的なパターンだがギターだけは弾きまくるカッコ良いプレイ。どのバンドもアレンジのアイディアは豊富だ。この辺りに来てようやくジミヘンへのトリビュートそのままに聞こえてくるEric Gales のスタンダードプラスアルファのブルースプレイ「May This Be Love」は落ち着きを持って聴ける。それでも個性的なファンクノリのアレンジが施してあるからここまでのアレンジがどれだけぶっ飛んでいた事かと思い知る。ギターの音色が美しくストラトサウンドで聴かせてくれる心地良さ。しかしここでまたCee-Loによる「Foxey Lady」が破壊的アレンジでジミヘンの幅の広さ、現代のミュージシャンの奇抜さを味わうが、白熱したソウル感満載で見事なまでに発散させてくれる破壊力。ラスト前はJohn Lee Hookerによるブルースそのままの「Red House」だが、一方ではジョン・リー・フッカーはブルース界の異端児なのでスタンダードなカバーには終わらず、カントリー・ブルース風味に仕立ててここに来てまで個性が出されている凄さ。最後はStevie Ray Vaughan & Double Troubleのライブバージョンによる「Little Wing/3rd Stone from the Sun」に尽きる。アレンジも何もなく、ジミヘンそのままに成り切った文句なしの12分半の演奏で、余韻を残しながらアルバムを締める。
様々なアレンジやプレイスタイルを楽しみつつもここまでプロ中のプロ連中によってカバーされたトリビュートアルバムも多くなく、間違いなく決定盤のカバー曲集だ。聴いててジミヘンが聴きたくなるよりも、収録されたアーティスト達のアルバムを聴きたくなるから面白い。

Prince漁ってて見つけてしまったジミヘントリビュートアルバム「Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix」。2004年のリリースながらさほど意識しなかったようで聴いていなかった。ジャケットは見た事あるので、知ってたとは思うがソウルメンのカバーなのでその頃は食指が動かなかったらしい。自分の趣味も年齢を重ねると広がったり抜けていったりして、特に黒人系は以前はまるで興味を持てずにいたので聴かなかったが、いつしかあのグルーブや強烈なファンキーさには魅力を覚え、また甘いソウルフルなスタイルも聴くようになった。その経験を積みながら今聴くジミヘントリビュートアルバム「Power of Soul: a Tribute to Jimi Hendrix」は随分とヘヴィにドロドロの濃さを味わっている。中にはスティングやクラプトンも参加しているので、決して濃いだけでもないが、概ねブラックなソウルメン達がヘヴィにアレンジして独自の色をたっぷりと付けての魅力的な作風ばかり。
Musiqの「Are You Experienced?」からもうヘヴィにウネウネしたアレンジで、原曲そのままでありながら独特のグリグリさが心地良く楽しめる作風がカッコ良い。Musiq自体を知らないが、かなりのセンスの持ち主のようだ。そしてSantanaの「Spanish Castle Magic」は期待以上に激しく素晴らしくヘヴィ、更にスピーディにソリッドに白熱した疾走感溢れるプレイで他を圧倒するサンタナにしては珍しい曲調。ここまでヘヴィに歌ってギターをロック的に弾きまくっている姿はサンタナ自身のアルバムではまず聴かれないが、当然やれば出来ると言わんばかりに炸裂している。ギターの音色もジミを踏襲するかのようなシングルコイル的サウンドで完全に成り切って弾いている感触。同時代に生きたギタリストならではの味を魅せつけた一曲。その疾走感からガラリと雰囲気を変えてのプリンスの「Red House」ならぬ「Purple House」は、どれだけブルースをアレンジしてプリンス風にするかと思えば、見事にプリンス色満載のミネアポリス風味たっぷりのファンキーサウンドで驚く。そこにギターはジミヘンマインドを目一杯詰め込んだヘヴィプレイを奏でるプリンス特異のアグレッシブな姿勢だから恐れ入る。原曲と全然異なるのに何度も聴きたくなる妙な質感がさすがの一言。全くプリンスもジミヘンに成り切って弾いているスタイルが素晴らしい。ガラリと変わって清涼飲料にも聴こえてくるスティングの「The Wind Cries Mary」。これだけの濃い連中に混じるととにかく聴きやすいカバー曲に聴こえるが、スティングらしい感覚に加えてギターのアグレッシブさはジミヘンに対する愛だ。
ファンクバンドのジミヘンサウンドはどこまで突き進められるかと本アルバムで一番楽しみな面が聴けるEarth Wind & Fireの「Voodoo Child (Slight Return)」は期待を一ミリも裏切らない完全にEW&Fの世界。ある種普通に聴こえるのも不思議だが、それだけジミヘンの原曲が黒人スタイルにマッチしているか分かる。同じく強烈な Bootsy Collins (featuring George Clinton & the P-Funk All-Stars)の「Power of Soul」は最早何聴いてるか分からないくらいに完全なファンクソウルそのままのアレンジで、ジミもこれは喜んだに違いないレベルの超絶アレンジ。さすがP-Funk連中の集大成とばかりに原曲をぶち壊し、本筋だけを残してプレイする凄まじさは圧巻。ブーチーの圧倒的存在感に加えてジョージ・クリントンの強烈なスタイルがアルバムのカラーを大きく変えている凄さ。次のクラプトンの「Burning of the Midnight Lamp」が息抜きのスタンダードなプレイに聴こえるほどだが、実際はクラプトンもかなり気合の入った想い入れたっぷりのスタジオ録音バージョンで珍しい残され方らしい。ジミの歌とリフもこうしてかっちりとプレイされると曲の良さが引き立つ感触。一方スウィートソウルスタイルで新たな一面を引き出したレニクラの「Have You Ever Been (To Electric Ladyland)」も斬新な発想のアレンジで驚く。ダニー・ハサウェイのような歌声でこの曲を奏でるとは意外すぎたが、見事な歌モノにアレンジし直したセンスの賜物。また、気になっていたペダルスティール・ギターを艶かしく弾きまくりハードにプレイするRobert Randolphによる「Purple Haze」も彼の個性そのままにアグレッシブにプレイされているので、新たな魅力が弾け出ているロック好きには堪らないプレイ。
ジミヘンフォロワーとして知られているVelvert Turnerによる「Going Down」は僅か45秒ながら良い味わいぶりを発揮している。続いて出てくる見事なソウルボイスのChaka Khan & Kenny Olsonによる「Little Wing」はこれまで聴いたどのバージョンとも異なる完全に歌唱のみで聴かせるスタイルに変貌している。この名曲を聴かせるなら歌だと言わんばかりのチャカ・カーンの凄まじさ、それに応えてのKanny Olsonのギタープレイが超絶最高に素晴らしい。更に聖歌コーラスだけのアレンジに等しい斬新なスタイルでSounds of Blacknessの「Castles Made of Sand」も原曲は何処へやらの革新的なパターンだがギターだけは弾きまくるカッコ良いプレイ。どのバンドもアレンジのアイディアは豊富だ。この辺りに来てようやくジミヘンへのトリビュートそのままに聞こえてくるEric Gales のスタンダードプラスアルファのブルースプレイ「May This Be Love」は落ち着きを持って聴ける。それでも個性的なファンクノリのアレンジが施してあるからここまでのアレンジがどれだけぶっ飛んでいた事かと思い知る。ギターの音色が美しくストラトサウンドで聴かせてくれる心地良さ。しかしここでまたCee-Loによる「Foxey Lady」が破壊的アレンジでジミヘンの幅の広さ、現代のミュージシャンの奇抜さを味わうが、白熱したソウル感満載で見事なまでに発散させてくれる破壊力。ラスト前はJohn Lee Hookerによるブルースそのままの「Red House」だが、一方ではジョン・リー・フッカーはブルース界の異端児なのでスタンダードなカバーには終わらず、カントリー・ブルース風味に仕立ててここに来てまで個性が出されている凄さ。最後はStevie Ray Vaughan & Double Troubleのライブバージョンによる「Little Wing/3rd Stone from the Sun」に尽きる。アレンジも何もなく、ジミヘンそのままに成り切った文句なしの12分半の演奏で、余韻を残しながらアルバムを締める。
様々なアレンジやプレイスタイルを楽しみつつもここまでプロ中のプロ連中によってカバーされたトリビュートアルバムも多くなく、間違いなく決定盤のカバー曲集だ。聴いててジミヘンが聴きたくなるよりも、収録されたアーティスト達のアルバムを聴きたくなるから面白い。
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