Roger Taylor - Fun in Space
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Roger Taylor - Fun in Space (1981)

意外な事にQueenのメンバーで最初にソロアルバムに着手したのはドラマーのロジャー・テイラーだった。1981年リリースの「Fun in Space」は更に驚く事に全楽器をロジャー・テイラーが演奏しているほぼ完全なソロアルバムで、それまでマルチミュージシャンとも思われていなかったが、ギターもベースも鍵盤もボーカルも担って、当然作曲も作詞も自身で行っているアルバム。ただ、それだけでは素晴らしいミュージシャンとして褒め称えられるが、肝心の楽曲のクォリティやサウンドコンセプトがどうにも中途半端で方向性も見定められていないため、セールス面では芳しくなく、また後年の評価でも取り上げられずに単なるアルバムにしかなっていない。当時レコード屋でよく見かけたが買わなかったし、その後も音を真面目に聴いてなかったので良い機会とばかりに着手してみた。
1981年だから80年代のあのサウンドも出始めたばかりの頃だが、既にあのエイティーズサウンドらしきチープなデジタル風味サウンドで彩られ、その時点で随分と古さを感じるが、それを無視した楽曲もロックとも言えず、ポップスでも中途半端なサウンドがやや残念。ただ、時代を鑑みるとこの音でも上手くすればこの後に何人ものロックミュージシャンがソロで大成したようなヒットを記録できた可能性は大いにあったとも思う。「Let's Get Crazy」が飛び出した時は全くロバート・プラントのソロ作のような印象すら感じた。そもそもがロジャー・テイラーは高音でのボーカルなので案外曲調を間違えなければ良いボーカリストとアルバムも出来上がった気がする。音色を見直して今作り直したら曲は悪くないので意外性はあるかも。ただ、当時はこの音が最先端で、Queenでも似たようなサウンドだったし、周囲も同じ音で出していたからやむを得ないか。Queenが「Flash Gordon」のサントラを録音していた時期だからおそらくはそれなりに時間が余った頃に書き溜めていた曲を仕上げたようにも思う。
ロジャー・テイラーの音楽的志向は基本的に普通のR&Rスタイルのようで、後のThe Crossでもそのスタンスを出している。本作も基本はビートの利いたR&Rスタイルで、さほど凝ってもいないのでストレートに聴きやすいが、ギターの音色は概ねコーラスがかった微妙に歪んだ音で、ロック的には中途半端、ドラムはあの音だが要所では割と派手に叩いているのも自身のアルバムだからか。コーラスワークもきちんと作って多重録音しているのでセンスと才能は素晴らしいと分かるが、ソロで活動するにはもっと何かが必要と実感した事だろう。後にフレディがソロを作った際にも感じたジレンマをロジャー・テイラーは一足先に実感していたとも言える。もうちょっと個性的な音楽の方向性が明確になっていれば面白かっただろう。それでもジャケットはヒプノシスを採用して、表ジャケットは宇宙人が漫画を見て、裏ジャケットではロジャーが宇宙人の漫画を見ているユニークさ。

意外な事にQueenのメンバーで最初にソロアルバムに着手したのはドラマーのロジャー・テイラーだった。1981年リリースの「Fun in Space」は更に驚く事に全楽器をロジャー・テイラーが演奏しているほぼ完全なソロアルバムで、それまでマルチミュージシャンとも思われていなかったが、ギターもベースも鍵盤もボーカルも担って、当然作曲も作詞も自身で行っているアルバム。ただ、それだけでは素晴らしいミュージシャンとして褒め称えられるが、肝心の楽曲のクォリティやサウンドコンセプトがどうにも中途半端で方向性も見定められていないため、セールス面では芳しくなく、また後年の評価でも取り上げられずに単なるアルバムにしかなっていない。当時レコード屋でよく見かけたが買わなかったし、その後も音を真面目に聴いてなかったので良い機会とばかりに着手してみた。
1981年だから80年代のあのサウンドも出始めたばかりの頃だが、既にあのエイティーズサウンドらしきチープなデジタル風味サウンドで彩られ、その時点で随分と古さを感じるが、それを無視した楽曲もロックとも言えず、ポップスでも中途半端なサウンドがやや残念。ただ、時代を鑑みるとこの音でも上手くすればこの後に何人ものロックミュージシャンがソロで大成したようなヒットを記録できた可能性は大いにあったとも思う。「Let's Get Crazy」が飛び出した時は全くロバート・プラントのソロ作のような印象すら感じた。そもそもがロジャー・テイラーは高音でのボーカルなので案外曲調を間違えなければ良いボーカリストとアルバムも出来上がった気がする。音色を見直して今作り直したら曲は悪くないので意外性はあるかも。ただ、当時はこの音が最先端で、Queenでも似たようなサウンドだったし、周囲も同じ音で出していたからやむを得ないか。Queenが「Flash Gordon」のサントラを録音していた時期だからおそらくはそれなりに時間が余った頃に書き溜めていた曲を仕上げたようにも思う。
ロジャー・テイラーの音楽的志向は基本的に普通のR&Rスタイルのようで、後のThe Crossでもそのスタンスを出している。本作も基本はビートの利いたR&Rスタイルで、さほど凝ってもいないのでストレートに聴きやすいが、ギターの音色は概ねコーラスがかった微妙に歪んだ音で、ロック的には中途半端、ドラムはあの音だが要所では割と派手に叩いているのも自身のアルバムだからか。コーラスワークもきちんと作って多重録音しているのでセンスと才能は素晴らしいと分かるが、ソロで活動するにはもっと何かが必要と実感した事だろう。後にフレディがソロを作った際にも感じたジレンマをロジャー・テイラーは一足先に実感していたとも言える。もうちょっと個性的な音楽の方向性が明確になっていれば面白かっただろう。それでもジャケットはヒプノシスを採用して、表ジャケットは宇宙人が漫画を見て、裏ジャケットではロジャーが宇宙人の漫画を見ているユニークさ。
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