Junior's Eyes - Battersea Power Station
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Junior's Eyes - Battersea Power Station (1969)

ミック・ウェインがPink Fairiesに参加したのは1972年のセカンドとサードの間のシングル一枚しかなく、その後すぐに離脱しているのでそこまで深い関係でもなかったが、その筋では古くから知られていた才能あるミュージシャンで、David Bowieの初期作品、特に1969年の「David Bowie (Aka Space Oddity)」でバック演奏を務めていた。ここから同じメンバーで意気投合したか、誰かの策略かは不明だがJunior's Eyesを結成して、即座にアルバム「Battersea Power Station」をリリースしている。メインソングライターはミック・ウェインなので、元々バンドがあってボウイのバックに参加しただけと思われ、ボウイ作品のバックを務めたから同時期にメジャーデビューを果たしたと見る方が正しいか。以前からバンドもアルバムの存在も知っててCD時代になってから入手したが、その音はほぼ記憶にないので改めて聴いてみた。
Junior's Eyesの1969年リリース作「Battersea Power Station」は結果的に唯一のアルバムとなっており、今ではデラックス盤として当時のシングルやデモソースも含めて現存する音源全てを網羅して再発されている。ジャケットを見て一番気になるのは左上のリーガルゾノフォンのハエのロゴマーク。どれだけ良いジャケットを描いたとしてもこのロゴに全てを持っていかれる程のインパクトを放つレーベルロゴは後にも先にも見当たらない。そのジャケットを見るからにロゴはともかくとして、得体の知れない集団の中、テーブルでディナーを味わうメンバーの姿と全くサイケデリック風味なアートワークで興味を惹くには十分なインパクト。アルバムを聴くと、サイケデリックの流れから脱却しようとしているロックバンドの姿が奏でられているようだ。その行き先はジャジーなスタイルもあればブルースに根ざしたサウンドもあり、またアンダーグラウンド風味なサウンドも組み込まれているので、時代を考慮すれば当然のなんでもあり的サウンドが散りばめられている。
アルバムは「Battersea Power Station」の組曲から始まり、一大絵巻を展開しているので随分早くからコンセプト展開を進めていた。楽曲は普通にロックサウンドが中心に作り上げられているが、「Total War」は喧騒を描いたノイズサウンドで「Circss Days」はシングルになるのも分かる程のキャッチーで明るいメロディを奏でる突出した曲。一大絵巻ながら恐らくはこのシングル曲ありきで構成も作られているような気がするが、「Imagination」では6分強にも及ぶアレンジが施された楽曲で、中盤以降から聴かれるアドリブジャズプレイスタイルがバンドの真髄を物語っている。この路線のスタイルでバンドを進めていった方がもっとシーンにはインパクトを与えられた気もするが、テクニック的にも音楽センス的にも抜群のジャズ・ロックが紛れ込む。「My Ship」はブルースのリズムに基づいたスローな展開で物語の行き詰まり感を出しているようだ。そのままムーディな雰囲気で始められる「Miss Lizzie」はイントロから大きく展開したヴォードヴィルなピアノで軽快に奏でられる喜劇的作品で頼もしい。その勢いを突き進めるかのような「So Embrassed」は明らかにクリームの「Crossroad」と同じリフが用いられた3コードパターンの曲で、歌詞や物語よりも曲のパターンに気を取られてしまう。ここまで丸ごと曲調を持ち込みながらギターソロのチープさ加減があまりにも情けない姿に映る。組曲最後の「Freak In」はタイトル通りの狂乱の喧騒で終焉を迎える一曲。物語性が楽しかったとは言い難い面もあるがサウンド的にバリエーション豊かに展開されている味わいある。
B面曲に入るとガラリと変わり、ミック・ウェインのギターがクローズアップされた妙な曲調が繰り広げられる。時代的なロックの姿と思えばそのまま出されている感触もあるが、やや先んじたセンスを音に織り込んでいる面は目立ち、同時代のメジャーなバンドの風味と何ら遜色ないレベルの出来映えと革新性が光る。コンガを用いたりハープシコードで彩ったり、音色面でも実験精神旺盛にチャレンジしている。ところがA面の組曲の緊張感とアレンジの幅広さから比べると、曲単位で作られているので、ある程度の方向に纏まっている感もあり、次の作品が期待される一枚、と評されただろう。「White Light」のような6分半ある曲だとJunior's Eyesの本領発揮とばかりの楽曲展開が目まぐるしくカラフルに進むので、こういう曲がもっとも似合っていたようだ。2015年にリリースされた2CDデラックス・エディションはまだ聴けていないが、全てのシングルAB面にアルバム収録曲のデモバージョンも収録された興味津々のアイテム。

ミック・ウェインがPink Fairiesに参加したのは1972年のセカンドとサードの間のシングル一枚しかなく、その後すぐに離脱しているのでそこまで深い関係でもなかったが、その筋では古くから知られていた才能あるミュージシャンで、David Bowieの初期作品、特に1969年の「David Bowie (Aka Space Oddity)」でバック演奏を務めていた。ここから同じメンバーで意気投合したか、誰かの策略かは不明だがJunior's Eyesを結成して、即座にアルバム「Battersea Power Station」をリリースしている。メインソングライターはミック・ウェインなので、元々バンドがあってボウイのバックに参加しただけと思われ、ボウイ作品のバックを務めたから同時期にメジャーデビューを果たしたと見る方が正しいか。以前からバンドもアルバムの存在も知っててCD時代になってから入手したが、その音はほぼ記憶にないので改めて聴いてみた。
Junior's Eyesの1969年リリース作「Battersea Power Station」は結果的に唯一のアルバムとなっており、今ではデラックス盤として当時のシングルやデモソースも含めて現存する音源全てを網羅して再発されている。ジャケットを見て一番気になるのは左上のリーガルゾノフォンのハエのロゴマーク。どれだけ良いジャケットを描いたとしてもこのロゴに全てを持っていかれる程のインパクトを放つレーベルロゴは後にも先にも見当たらない。そのジャケットを見るからにロゴはともかくとして、得体の知れない集団の中、テーブルでディナーを味わうメンバーの姿と全くサイケデリック風味なアートワークで興味を惹くには十分なインパクト。アルバムを聴くと、サイケデリックの流れから脱却しようとしているロックバンドの姿が奏でられているようだ。その行き先はジャジーなスタイルもあればブルースに根ざしたサウンドもあり、またアンダーグラウンド風味なサウンドも組み込まれているので、時代を考慮すれば当然のなんでもあり的サウンドが散りばめられている。
アルバムは「Battersea Power Station」の組曲から始まり、一大絵巻を展開しているので随分早くからコンセプト展開を進めていた。楽曲は普通にロックサウンドが中心に作り上げられているが、「Total War」は喧騒を描いたノイズサウンドで「Circss Days」はシングルになるのも分かる程のキャッチーで明るいメロディを奏でる突出した曲。一大絵巻ながら恐らくはこのシングル曲ありきで構成も作られているような気がするが、「Imagination」では6分強にも及ぶアレンジが施された楽曲で、中盤以降から聴かれるアドリブジャズプレイスタイルがバンドの真髄を物語っている。この路線のスタイルでバンドを進めていった方がもっとシーンにはインパクトを与えられた気もするが、テクニック的にも音楽センス的にも抜群のジャズ・ロックが紛れ込む。「My Ship」はブルースのリズムに基づいたスローな展開で物語の行き詰まり感を出しているようだ。そのままムーディな雰囲気で始められる「Miss Lizzie」はイントロから大きく展開したヴォードヴィルなピアノで軽快に奏でられる喜劇的作品で頼もしい。その勢いを突き進めるかのような「So Embrassed」は明らかにクリームの「Crossroad」と同じリフが用いられた3コードパターンの曲で、歌詞や物語よりも曲のパターンに気を取られてしまう。ここまで丸ごと曲調を持ち込みながらギターソロのチープさ加減があまりにも情けない姿に映る。組曲最後の「Freak In」はタイトル通りの狂乱の喧騒で終焉を迎える一曲。物語性が楽しかったとは言い難い面もあるがサウンド的にバリエーション豊かに展開されている味わいある。
B面曲に入るとガラリと変わり、ミック・ウェインのギターがクローズアップされた妙な曲調が繰り広げられる。時代的なロックの姿と思えばそのまま出されている感触もあるが、やや先んじたセンスを音に織り込んでいる面は目立ち、同時代のメジャーなバンドの風味と何ら遜色ないレベルの出来映えと革新性が光る。コンガを用いたりハープシコードで彩ったり、音色面でも実験精神旺盛にチャレンジしている。ところがA面の組曲の緊張感とアレンジの幅広さから比べると、曲単位で作られているので、ある程度の方向に纏まっている感もあり、次の作品が期待される一枚、と評されただろう。「White Light」のような6分半ある曲だとJunior's Eyesの本領発揮とばかりの楽曲展開が目まぐるしくカラフルに進むので、こういう曲がもっとも似合っていたようだ。2015年にリリースされた2CDデラックス・エディションはまだ聴けていないが、全てのシングルAB面にアルバム収録曲のデモバージョンも収録された興味津々のアイテム。
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