Cockney Rebel - The Psychomodo (2012 Remastered)
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Cockney Rebel - The Psychomodo (2012 Remastered) (1974)

ロックを意識してからその虜になりたくてひたすらに突き進もうとするが、年齢が若すぎたのでなんでも聴ける環境でもなく、またそれを作り上げられるゆとりもなかったので地道に雑誌やレコードのライナーから断片情報を掻き集めて自分の好きな方向のバンドやアルバムを探し回り、情報を漁って見つけた時には外さないように頭に叩き込んでいた日々。今のように即その場で調べられる時代ならともかく、知らないヤツと思われたら終わりなのでとにかく叩き込んで随分と自分に厳しくロックに向かっていた気がする。更に気になってもまるで見つからないレコードも多数あり、高嶺の花もありと思えば色々と苦労した面もあった。
Steve Harley率いるCockney Rebelのアルバムジャケットは何かとロック本にも出て来たが、レコードを見つけるに至らずに聴いたのは随分と後になってからだった。その頃にはこの手のサウンドは他で聴いていたので、特に斬新な面が響かずに後回し的アルバムになっていた。1974年にリリースされた2枚目のアルバム「The Psychomodo」はオリジナルメンバーで制作された最後の作品ともなり、以降はSteve Harleyが集めたメンバーのバックバンドをCockney Rebelと呼ぶ節もある形態に進化したので、最初期は本作までとなるが、概ね作風も変わらずスティーブ・ハーレーが主役なので取り立てて分けて考える必要性もなさそうだ。このアルバムを聴いた時に最初に思ったのはボーカルスタイルがMott The Hoopleのイアン・ハンターに随分と似た感じで、歌によってはイアン・ハンターが歌っているかのようにも聴こえる作品もあり、スティーブ・ハーレーが意識していたかは確認していないがユニークな事もある。一方の作風は、既に才能が炸裂しているので普通のロックバンド的なスタイルとは一線を画した、ギターやベース以外の楽器が綺羅びやかな面を切り取っていくようで、バイオリンや鍵盤類の活躍が素晴らしい。その音色の違いとスティーブ・ハーレーの歌メロの妙がいわゆる「デカダン」なムードを醸し出し、古くからのロックファンの数少ないボキャブラリーを混乱させるような、グラムロック、ポップ・ロックの位置付けにされている。類似項として大抵出てくるのが、Roxy MusicやBowie、SparksやStackridgeといずれも例えにくいサウンドを生み出した偉人たちと並べられるため、バンドの音楽の本質が捉えにくくなっている。他の情報に振り回されるとどれも期待外れになる気がするので、単純に妙な英国調ポップが基本にある認識で良いと思う。
「The Psychomodo」はアルバム冒頭から随分とカラフル感の強いポップ要素も大きく、また音色豊富なサウンドが散りばめられているので妙な加減でのトキメキを聴けるが、曲が進むにつれてやや深みのある世界に淡々と取り込まれていく風味もある。スティーブ・ハーレーのやけに説得力のある歌声とメロディが曲調の妙技と絡まって通常と異なる世界へ連れて行かれそうになるのが不思議で、その意味ではロックとはここまで広く深い世界と知らされる面も大きい。B面に入るとまたA面と同じく明るく軽やかなムードから始められるが、この時点では既にアルバム全体の雰囲気とムードに取り込まれているので、単純に明るい気分には浸れない怪しさが漂う。そう思うとこのアルバムは幾つかのドラマの中に放り込まれたような気になる演劇性側面の強い作品で、そこまで自分が取り込まれている気がするなら恐らくスティーブ・ハーレーの狙い通り、もしくはそれ以上のアルバムに支配されているかもしれない。キンクスが代表的なその世界観だが、本作もその素晴らしい世界観をリスナーに植え付けて楽しませてくれる傑作。
2012年にようやくリマスタリングされて容易にアルバムを入手出来るようにもなっているが、ボーナストラックは一切付けられていないので潔い。旧作と比べてもいないが、随分と訴えかけてくる音色の立体感が強く迫ってくる印象で、だからこそ今回はこの世界にハマったとも言えるか。ミック・ロックのアルバムジャケットも印象的で、どこかロックらしさが貫かれているスタンスが写真にも出ている。

ロックを意識してからその虜になりたくてひたすらに突き進もうとするが、年齢が若すぎたのでなんでも聴ける環境でもなく、またそれを作り上げられるゆとりもなかったので地道に雑誌やレコードのライナーから断片情報を掻き集めて自分の好きな方向のバンドやアルバムを探し回り、情報を漁って見つけた時には外さないように頭に叩き込んでいた日々。今のように即その場で調べられる時代ならともかく、知らないヤツと思われたら終わりなのでとにかく叩き込んで随分と自分に厳しくロックに向かっていた気がする。更に気になってもまるで見つからないレコードも多数あり、高嶺の花もありと思えば色々と苦労した面もあった。
Steve Harley率いるCockney Rebelのアルバムジャケットは何かとロック本にも出て来たが、レコードを見つけるに至らずに聴いたのは随分と後になってからだった。その頃にはこの手のサウンドは他で聴いていたので、特に斬新な面が響かずに後回し的アルバムになっていた。1974年にリリースされた2枚目のアルバム「The Psychomodo」はオリジナルメンバーで制作された最後の作品ともなり、以降はSteve Harleyが集めたメンバーのバックバンドをCockney Rebelと呼ぶ節もある形態に進化したので、最初期は本作までとなるが、概ね作風も変わらずスティーブ・ハーレーが主役なので取り立てて分けて考える必要性もなさそうだ。このアルバムを聴いた時に最初に思ったのはボーカルスタイルがMott The Hoopleのイアン・ハンターに随分と似た感じで、歌によってはイアン・ハンターが歌っているかのようにも聴こえる作品もあり、スティーブ・ハーレーが意識していたかは確認していないがユニークな事もある。一方の作風は、既に才能が炸裂しているので普通のロックバンド的なスタイルとは一線を画した、ギターやベース以外の楽器が綺羅びやかな面を切り取っていくようで、バイオリンや鍵盤類の活躍が素晴らしい。その音色の違いとスティーブ・ハーレーの歌メロの妙がいわゆる「デカダン」なムードを醸し出し、古くからのロックファンの数少ないボキャブラリーを混乱させるような、グラムロック、ポップ・ロックの位置付けにされている。類似項として大抵出てくるのが、Roxy MusicやBowie、SparksやStackridgeといずれも例えにくいサウンドを生み出した偉人たちと並べられるため、バンドの音楽の本質が捉えにくくなっている。他の情報に振り回されるとどれも期待外れになる気がするので、単純に妙な英国調ポップが基本にある認識で良いと思う。
「The Psychomodo」はアルバム冒頭から随分とカラフル感の強いポップ要素も大きく、また音色豊富なサウンドが散りばめられているので妙な加減でのトキメキを聴けるが、曲が進むにつれてやや深みのある世界に淡々と取り込まれていく風味もある。スティーブ・ハーレーのやけに説得力のある歌声とメロディが曲調の妙技と絡まって通常と異なる世界へ連れて行かれそうになるのが不思議で、その意味ではロックとはここまで広く深い世界と知らされる面も大きい。B面に入るとまたA面と同じく明るく軽やかなムードから始められるが、この時点では既にアルバム全体の雰囲気とムードに取り込まれているので、単純に明るい気分には浸れない怪しさが漂う。そう思うとこのアルバムは幾つかのドラマの中に放り込まれたような気になる演劇性側面の強い作品で、そこまで自分が取り込まれている気がするなら恐らくスティーブ・ハーレーの狙い通り、もしくはそれ以上のアルバムに支配されているかもしれない。キンクスが代表的なその世界観だが、本作もその素晴らしい世界観をリスナーに植え付けて楽しませてくれる傑作。
2012年にようやくリマスタリングされて容易にアルバムを入手出来るようにもなっているが、ボーナストラックは一切付けられていないので潔い。旧作と比べてもいないが、随分と訴えかけてくる音色の立体感が強く迫ってくる印象で、だからこそ今回はこの世界にハマったとも言えるか。ミック・ロックのアルバムジャケットも印象的で、どこかロックらしさが貫かれているスタンスが写真にも出ている。
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