Mott The Hoople - Mott The Hoople (Remastered)
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Mott The Hoople - Mott The Hoople (Remastered) (1969)

Mott The Hoopleを語る際は概ね「All The Young Dudes」以降、もしくは周辺のアルバムの場合が多く、それ以前の作品が語られる時はおそらくはファン同士と認識した時になる気がする。全てのアルバムを聴いた今にして思っても、確かにあの黄金期が最高に素晴らしく、ロックンロール黄金時代そのままと納得もする。ただ、そこ至るまでのプロセスも知られている面があり、解散を決めた頃にボウイに相談したら名曲をもらえて復活した美談が有名だ。ボウイはそもそもそれまでのMott The Hoopleが気に入ってたからこそそういう貢献を決めている、即ちそれまでのMott The Hoopleのサウンドとスタイルがボウイには響いていたと。すると、その頃のMott The Hoopleのスタイルを知っておきたくなるし、そもそもMott The Hoopleが気になればアルバムの最初から聴いてみたくなるのも本能なので、全く評価されていないファーストアルバム「Mott The Hoople」を手に取る。
1969年にアイランドレーベルからガイ・スティーブンスのプロデュースでリリースされた地味なアルバム「Mott The Hoople」は、当初からさほど売れずにいたが、聴いて分かるようにイアン・ハンターのボブ・ディランそのままの歌い方と似たような声質も手伝って、不思議と気に入る面を持っている。既にミック・ラルフスのギターも炸裂しているので、後のMott The Hoopleのスタイルとそこまで変わらない曲もあるので、バンドの方向性や志向性をどこに向けるか定まらないまま模索していたために地味になったとも思える。事実Mott The Hoopleは圧倒的リーダーが存在しておらず、メンバー平等主義的なバンドだったと聞く。それが良くも悪くも出て、方向性が民主主義的に定まらなかった要因として後にボウイが指摘したらしい。どこかアマチュア的感覚のままにシーンに登場してしまったのかもしれない。
アルバム「Mott The Hoople」はThe Kinksのヒット曲「You Really Got Me」のインストバージョンから始まり、恐らくは聴く者を惹き付ける意味合いでこの有名な曲を冒頭に持ってきて、Mott The Hoopleのスタンスを最初に見せつけたと想像されるが、確かに聴いていると知ってる曲だからその違いを楽しむ方が先に出てくる。つまりはMott The Hoopleのアルバムを聴き始めている姿だ。そこで場を和ませてから本編開始するも、「At The Crossroads 」は楽曲はともかくながら出てくるボーカルラインと歌声が圧倒的にボブ・ディラン過ぎて妙に聞き入ってしまうナンバー。そこも狙っていたか、心なしかメロディラインも似ている。しかし、イアン・ハンターの説得力もあるから曲がディラン並みに生きているあたりがさすが。そこを通り抜けると素晴らしい歌声とメロディに心奪われる曲で、このバンドは何者かとなる魅力を放っている。アレンのオルガンが心地良く鳴り響くアレンジも時代を物語ってて好ましいし、終盤の盛り上がり方は実に感極まるスタイルでイアン・ハンターの素晴らしさが全開。この魅力がMott The Hoopleの醍醐味だが、実は原曲が同じ1969年4月にリリースされたダグ・サーム作曲なので、Mott The Hoopleはそのカバーをここまでのテンションでプレイしている。続く「Laugh at Me 」も同様にソニー・ボノが1965年に放ったシングルのカバー曲ながら先と同様にMott The Hoople流のアレンジとオルガンを大々的に用いて終盤の大演奏盛り上がりプレイでテンションを上げている。今度はミック・ラルフスのギターも暴れ始めて後のMott The Hoopleで聴かれるバンドプレイは既に見え隠れしている。そしてようやくイアン・ハンターのオリジナル曲「Backsliding Fearlessly」が地味に始まるが、今度はモロにボブ・ディラン的楽曲ながら、先程までの壮大なるアレンジ力が発揮されているから単調にならずに抑えられている。
そしてこれぞR&Rなミック・ラルフス作の「Rock and Roll Queen」こそがMott The Hoople流サウンド。後のバンドが選ぶスタイルをここに集約しただけで、ファーストアルバム時点で隠れた才覚ミック・ラルフスのR&Rが既に炸裂しているので、地味なファーストアルバムと云われつつも、実は後のバンドの姿を見られる原点作。続いての「Rabbit Foot and Toby Time」もミック・ラルフス作の軽快なR&Rインスト曲でバンドがノリノリに演奏している姿をたっぷりと楽しめる。この辺りを聴いているとMott The Hoopleでもミック・ラルフスのR&Rスタイルとイアン・ハンターのディラン風味のセンスの違いが明白に分かってくる。この二人が融合すれば良いバンドになると見えていたのはガイ・スティーブンスの目論見だったか。その両雄がタッグを組んで作った「Half Moon Bay」は前半が演奏中心のミック・ラルフス的スタンスから始まり、イアン・ハンター節に繋がりながらもMott The Hoople風の仰々しいアレンジを被せてメンバー総出で作り上げた傑作に仕上がっている。アルバム最後はガイ・スティーブンス作の「Wrath and Wroll」でこれまでのどの曲とも異なるある種プログレッシブですらある楽曲スタイルはMott The Hoopleに合っていたか分からないが、また別の側面を出した作品。ただ、終盤の盛り上がりアレンジの凄さはアルバム中最大級で素晴らしい大団円を迎える。
2003年にリマスタリングされてボーナストラックには日本盤は「Rock and Roll Queen」のシングルバージョンも加えられ、更に他ではニール・ヤングの「Ohio」の白熱ライブバージョンが収録されており、ディラン風とは異なるイアン・ハンターのスタイルはともかく、ミック・ラルフスのギタープレイが生々しく勢いあるバンドの姿が聴かれる。最後はバンドがガイ・スティーブンスにプレゼンした時のインスト楽曲「Find Your Way」が加えられ、バンドの演奏力の確かさは確認できるが肝心のイアン・ハンターはまだバンドと合流していなかった時期かもしれない。ミック・ラルフス作曲とは聴いて一発で分かるくらいにR&Rスタイルで、このままバンドの方向性が定まっていればもっと早くシーンで売れてた気もするが、歴史を見ればそうとも言えないのも事実。案外様々なサウンドをMott The Hoople流にプレイしていた実はカバー曲の多いファーストアルバムもじっくり聴くともっと楽しめる作品。

Mott The Hoopleを語る際は概ね「All The Young Dudes」以降、もしくは周辺のアルバムの場合が多く、それ以前の作品が語られる時はおそらくはファン同士と認識した時になる気がする。全てのアルバムを聴いた今にして思っても、確かにあの黄金期が最高に素晴らしく、ロックンロール黄金時代そのままと納得もする。ただ、そこ至るまでのプロセスも知られている面があり、解散を決めた頃にボウイに相談したら名曲をもらえて復活した美談が有名だ。ボウイはそもそもそれまでのMott The Hoopleが気に入ってたからこそそういう貢献を決めている、即ちそれまでのMott The Hoopleのサウンドとスタイルがボウイには響いていたと。すると、その頃のMott The Hoopleのスタイルを知っておきたくなるし、そもそもMott The Hoopleが気になればアルバムの最初から聴いてみたくなるのも本能なので、全く評価されていないファーストアルバム「Mott The Hoople」を手に取る。
1969年にアイランドレーベルからガイ・スティーブンスのプロデュースでリリースされた地味なアルバム「Mott The Hoople」は、当初からさほど売れずにいたが、聴いて分かるようにイアン・ハンターのボブ・ディランそのままの歌い方と似たような声質も手伝って、不思議と気に入る面を持っている。既にミック・ラルフスのギターも炸裂しているので、後のMott The Hoopleのスタイルとそこまで変わらない曲もあるので、バンドの方向性や志向性をどこに向けるか定まらないまま模索していたために地味になったとも思える。事実Mott The Hoopleは圧倒的リーダーが存在しておらず、メンバー平等主義的なバンドだったと聞く。それが良くも悪くも出て、方向性が民主主義的に定まらなかった要因として後にボウイが指摘したらしい。どこかアマチュア的感覚のままにシーンに登場してしまったのかもしれない。
アルバム「Mott The Hoople」はThe Kinksのヒット曲「You Really Got Me」のインストバージョンから始まり、恐らくは聴く者を惹き付ける意味合いでこの有名な曲を冒頭に持ってきて、Mott The Hoopleのスタンスを最初に見せつけたと想像されるが、確かに聴いていると知ってる曲だからその違いを楽しむ方が先に出てくる。つまりはMott The Hoopleのアルバムを聴き始めている姿だ。そこで場を和ませてから本編開始するも、「At The Crossroads 」は楽曲はともかくながら出てくるボーカルラインと歌声が圧倒的にボブ・ディラン過ぎて妙に聞き入ってしまうナンバー。そこも狙っていたか、心なしかメロディラインも似ている。しかし、イアン・ハンターの説得力もあるから曲がディラン並みに生きているあたりがさすが。そこを通り抜けると素晴らしい歌声とメロディに心奪われる曲で、このバンドは何者かとなる魅力を放っている。アレンのオルガンが心地良く鳴り響くアレンジも時代を物語ってて好ましいし、終盤の盛り上がり方は実に感極まるスタイルでイアン・ハンターの素晴らしさが全開。この魅力がMott The Hoopleの醍醐味だが、実は原曲が同じ1969年4月にリリースされたダグ・サーム作曲なので、Mott The Hoopleはそのカバーをここまでのテンションでプレイしている。続く「Laugh at Me 」も同様にソニー・ボノが1965年に放ったシングルのカバー曲ながら先と同様にMott The Hoople流のアレンジとオルガンを大々的に用いて終盤の大演奏盛り上がりプレイでテンションを上げている。今度はミック・ラルフスのギターも暴れ始めて後のMott The Hoopleで聴かれるバンドプレイは既に見え隠れしている。そしてようやくイアン・ハンターのオリジナル曲「Backsliding Fearlessly」が地味に始まるが、今度はモロにボブ・ディラン的楽曲ながら、先程までの壮大なるアレンジ力が発揮されているから単調にならずに抑えられている。
そしてこれぞR&Rなミック・ラルフス作の「Rock and Roll Queen」こそがMott The Hoople流サウンド。後のバンドが選ぶスタイルをここに集約しただけで、ファーストアルバム時点で隠れた才覚ミック・ラルフスのR&Rが既に炸裂しているので、地味なファーストアルバムと云われつつも、実は後のバンドの姿を見られる原点作。続いての「Rabbit Foot and Toby Time」もミック・ラルフス作の軽快なR&Rインスト曲でバンドがノリノリに演奏している姿をたっぷりと楽しめる。この辺りを聴いているとMott The Hoopleでもミック・ラルフスのR&Rスタイルとイアン・ハンターのディラン風味のセンスの違いが明白に分かってくる。この二人が融合すれば良いバンドになると見えていたのはガイ・スティーブンスの目論見だったか。その両雄がタッグを組んで作った「Half Moon Bay」は前半が演奏中心のミック・ラルフス的スタンスから始まり、イアン・ハンター節に繋がりながらもMott The Hoople風の仰々しいアレンジを被せてメンバー総出で作り上げた傑作に仕上がっている。アルバム最後はガイ・スティーブンス作の「Wrath and Wroll」でこれまでのどの曲とも異なるある種プログレッシブですらある楽曲スタイルはMott The Hoopleに合っていたか分からないが、また別の側面を出した作品。ただ、終盤の盛り上がりアレンジの凄さはアルバム中最大級で素晴らしい大団円を迎える。
2003年にリマスタリングされてボーナストラックには日本盤は「Rock and Roll Queen」のシングルバージョンも加えられ、更に他ではニール・ヤングの「Ohio」の白熱ライブバージョンが収録されており、ディラン風とは異なるイアン・ハンターのスタイルはともかく、ミック・ラルフスのギタープレイが生々しく勢いあるバンドの姿が聴かれる。最後はバンドがガイ・スティーブンスにプレゼンした時のインスト楽曲「Find Your Way」が加えられ、バンドの演奏力の確かさは確認できるが肝心のイアン・ハンターはまだバンドと合流していなかった時期かもしれない。ミック・ラルフス作曲とは聴いて一発で分かるくらいにR&Rスタイルで、このままバンドの方向性が定まっていればもっと早くシーンで売れてた気もするが、歴史を見ればそうとも言えないのも事実。案外様々なサウンドをMott The Hoople流にプレイしていた実はカバー曲の多いファーストアルバムもじっくり聴くともっと楽しめる作品。
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