The Deviants - Ptooff!
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The Deviants - Ptooff! (1967)

サイケデリック・ロックの妙技、ビートルズが早々に時代を反映して才能の証明とばかりにその手の名盤を数枚作り上げてしまったから一般にもサイケデリック・ロックとはこういうモノだとの認識も広がったが、同時期には他にも多数のバンドがそれぞれの方向性を模索しながらサイケデリック・ロックを生み出していた。恐らくはラリった状態のまま曲作りや録音をしていたか、その感触を如何にして音楽で、バンドで、ロックとして音を出すか、出せるかの実験を多様な手法で実験していた時代でもある。テープの逆回転ややたら響き渡るエコーの使い方、ステレオが普及してきた時代もあってステレオ感の中で左右から異なる音や、微妙にズレた音を出したりとそれはもう様々な録音が試されている。
Deviantsの最初のアルバム「Ptooff!」は1967年にリリースされ、時代は正にサイケデリック・ロック全盛期もあって、その時代を代表するような見事な完成度を誇るアルバムが聴けた。後の時代になってからは更に評価が高くなっているが、いわゆるグチャグチャの訳の分からないサイケデリック・ロックでもなく、美しさとメロディーが同居しつつのサイケデリック感なので聴きやすさは当然の事、音数もそこまで多くしておらず、どこか牧歌的なムードすら漂うサイケ調。冒頭はおしゃべりから始まり、いきなり何事かと思うような始まり方。続いて出てくる「I'm Coming Home」は60年代のロックバンド的なサウンドで始まるが、それもピンク・フロイド的感覚が漂うのは期待感溢れるテンションがあり、案の定中間部では強烈に歪みまくったギターサウンドによるエグいソロがサイケデリック感を増長させ、抑揚のないまま楽曲が続けられるが、それがまた妙にテンションを上げてくれるのが素晴らしい。続いての「Child of the Sky」はアコースティック調のシンプルな曲なので、サイケデリック・ロックバンドの姿をつかの間忘れてしまう、さすがの英国調ソングでアルバムの評価が一側面しか見られていないとも思える。同じように「Charlie」もシンプルな歌とギターで紡がれる新局面とも感じられるブルースベースの作風にボサノバを加えているようで、そのまま淡々と奏でられていく姿も斬新な姿。
アナログ時代のB面始まりとなる「Nothing Man」はA面冒頭と同じく、あちらの世界からの方々が登場するような妙な雰囲気のノイズと会話が始められ、効果音を挟み込みながら正にサイケデリックでスペイシーなサウンドをひたすら出してくる異色作で、アルバムジャケットを表した楽曲のようにも感じる傑作。そのムードを引き継いだような「Garbage」は単体で聴けばシンプルなポップ調の楽曲だが、どこかアシッドな雰囲気を孕んでいる奥深さを持つスタイル。ミック・ファーレンのパフォーマンスの上手さが雰囲気を出すのに大いに役立っているが、この曲の最後はもう単純にサイケで、曲の展開が実にカラフル。そのままノイジーなギターが掻き鳴らされて向こう側に飛び込もうとするアレンジで思考がかなり混乱する。続いての「Bun」は静かめなスティール・ギター的サウンドで奏でられる小休止楽曲にも思えるムーディな作品で、ワンパターンながらもその雰囲気には心休まる。最後の「Deviation Street」もノイジーなギターが掻き鳴らされて始まるスペイシーなスタイルながら唐突に浮遊するドラマが開始され、全くサイケデリックなストーリー仕立ての作品が展開される聴き応えのある楽曲で9分弱にも渡る物語に仕上がっている。
単にサイケデリックなアルバム、バンドの印象が強かったが久々にじっくりと聴いてみれば40分弱のムード溢れる、そして案外とスタンダードに作られた楽曲が占めた作品だった。超絶サイケ曲が幾つかあるので、そのインパクトが強いもののロック名盤として語られ、しかも1967年に作られたと思うと相当洗練されたハイセンスなアルバムだ。ミック・ファーレンの才能が溢れ出ていると思われるが、なるほどデヴィアンツからピンク・フェアリーズと英国アングラど真ん中を切り拓いていくはずと納得。

サイケデリック・ロックの妙技、ビートルズが早々に時代を反映して才能の証明とばかりにその手の名盤を数枚作り上げてしまったから一般にもサイケデリック・ロックとはこういうモノだとの認識も広がったが、同時期には他にも多数のバンドがそれぞれの方向性を模索しながらサイケデリック・ロックを生み出していた。恐らくはラリった状態のまま曲作りや録音をしていたか、その感触を如何にして音楽で、バンドで、ロックとして音を出すか、出せるかの実験を多様な手法で実験していた時代でもある。テープの逆回転ややたら響き渡るエコーの使い方、ステレオが普及してきた時代もあってステレオ感の中で左右から異なる音や、微妙にズレた音を出したりとそれはもう様々な録音が試されている。
Deviantsの最初のアルバム「Ptooff!」は1967年にリリースされ、時代は正にサイケデリック・ロック全盛期もあって、その時代を代表するような見事な完成度を誇るアルバムが聴けた。後の時代になってからは更に評価が高くなっているが、いわゆるグチャグチャの訳の分からないサイケデリック・ロックでもなく、美しさとメロディーが同居しつつのサイケデリック感なので聴きやすさは当然の事、音数もそこまで多くしておらず、どこか牧歌的なムードすら漂うサイケ調。冒頭はおしゃべりから始まり、いきなり何事かと思うような始まり方。続いて出てくる「I'm Coming Home」は60年代のロックバンド的なサウンドで始まるが、それもピンク・フロイド的感覚が漂うのは期待感溢れるテンションがあり、案の定中間部では強烈に歪みまくったギターサウンドによるエグいソロがサイケデリック感を増長させ、抑揚のないまま楽曲が続けられるが、それがまた妙にテンションを上げてくれるのが素晴らしい。続いての「Child of the Sky」はアコースティック調のシンプルな曲なので、サイケデリック・ロックバンドの姿をつかの間忘れてしまう、さすがの英国調ソングでアルバムの評価が一側面しか見られていないとも思える。同じように「Charlie」もシンプルな歌とギターで紡がれる新局面とも感じられるブルースベースの作風にボサノバを加えているようで、そのまま淡々と奏でられていく姿も斬新な姿。
アナログ時代のB面始まりとなる「Nothing Man」はA面冒頭と同じく、あちらの世界からの方々が登場するような妙な雰囲気のノイズと会話が始められ、効果音を挟み込みながら正にサイケデリックでスペイシーなサウンドをひたすら出してくる異色作で、アルバムジャケットを表した楽曲のようにも感じる傑作。そのムードを引き継いだような「Garbage」は単体で聴けばシンプルなポップ調の楽曲だが、どこかアシッドな雰囲気を孕んでいる奥深さを持つスタイル。ミック・ファーレンのパフォーマンスの上手さが雰囲気を出すのに大いに役立っているが、この曲の最後はもう単純にサイケで、曲の展開が実にカラフル。そのままノイジーなギターが掻き鳴らされて向こう側に飛び込もうとするアレンジで思考がかなり混乱する。続いての「Bun」は静かめなスティール・ギター的サウンドで奏でられる小休止楽曲にも思えるムーディな作品で、ワンパターンながらもその雰囲気には心休まる。最後の「Deviation Street」もノイジーなギターが掻き鳴らされて始まるスペイシーなスタイルながら唐突に浮遊するドラマが開始され、全くサイケデリックなストーリー仕立ての作品が展開される聴き応えのある楽曲で9分弱にも渡る物語に仕上がっている。
単にサイケデリックなアルバム、バンドの印象が強かったが久々にじっくりと聴いてみれば40分弱のムード溢れる、そして案外とスタンダードに作られた楽曲が占めた作品だった。超絶サイケ曲が幾つかあるので、そのインパクトが強いもののロック名盤として語られ、しかも1967年に作られたと思うと相当洗練されたハイセンスなアルバムだ。ミック・ファーレンの才能が溢れ出ていると思われるが、なるほどデヴィアンツからピンク・フェアリーズと英国アングラど真ん中を切り拓いていくはずと納得。
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