Wytch Hazel - III: Pentecost
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Wytch Hazel - III: Pentecost (2020)

古き良きを好きなリスナーは大半がそれなりに歳を取っている人が多いと思うが、歳と共に新しきを吸収する、チャレンジする姿勢に陰りが見えてくる人が多いのも事実。今更新しいのを聴いても相当好きになれば別だが、そこに至らない、至る前にそれなら元々の70年代のバンドを聴いてた方が良いだろうと思ってしまうのもある。環境的にバンド名やアルバムタイトルさえ分かればYouTubeあたりでちょこっと探せば聴けてしまうし、それでどこか満足してしまうだろうから何度も何度も聴かなくなるし、そこまでハマらない場合も多い。果たしてそれで良いのか、良いか悪いかでもないので、そうなってしまう傾向は歳のせいとして、どこか勿体無いのではないか、と思うようにもしているし、今の時代のサウンドで聴けるならその方が聴きやすいだろう。ただ、それでもやはり何度も手が伸びるバンドやアルバムはそこまで多くないのは確か。悩ましい。
Wytch Hazelは前作「II: Sojourn」があまりにもWishbone Ash的なジャケットとサウンドだったので印象に残っていたが、アマゾンで新しいアルバムのジャケットを見てバンド名見て、どこかで見たような、と言う印象だけで聴くまでに至らずだったが、先日ようやく耳にした。そこでこのバンドってそういえば前作「II: Sojourn」があのジャケットだったバンドか、と気づいてじっくりと聴き直していたが、2020年秋に三枚目のアルバム「III: Pentecost」をリリースしており、なかなかの好評を博していたようなので頼もしい。そんな期待感もあって冒頭から聴いているが、一発目からガツンとは来ないのもこれまた大英帝国らしいアルバム作り。そもそも大英帝国ハードロックそのままを代表するかのような音が特徴的でありつつ、 Wytch Hazelとしての特色は正直言って書き辛い。今更際立った音色や作風と言うものでもないからだが、言うならば70年代の大英帝国ハードロックをもっと洗練した味わいで、少々キャッチーさも加えた風味のある聴きやすいハードロック、と言えるか。ドラムの音はあと少しだけ抜けてくれればもうちょっとカッコ良く収まりそうだし、ギターの音もあと少し太めならハードロックでグイグイ引っ張られそうなのにやや線が細めに出されているし、ベースラインももうちょっとウネッてくるとドライブしまくるが、そこでルート音で鳴らしてくるか、というような面もあり、ボーカルのメロディセンスは卓越ながら熱唱型とは異なる、まさに英国風味な味わいの声質で無理しない聴かせ方と、どこを取ってもあと少し、と言う面があるところがツボ。その微妙な線で纏められたサウンドはどこからどう聴いても湿っぽいブリティッシュハードロックそのままの音で、しかも70年代風味は大いにあるものの、しっかりと現代的エッセンスが練り込まれているのは当然か。その聴き方に慣れると本作「III: Pentecost」はかなりの名盤の装いと気づくだろう。インパクトある楽曲は見当たらないが、どの曲もじっくりと煮込まれた味わい深いエッセンスがたっぷりと詰め込まれ、それがしつこくなく抜け出して来るサウンドは狙っても出せない風味。さすが大英帝国ロック。
前作「II: Sojourn」が結構ハードロック寄りに振っていたのもあってか、本作はその意味ではやや大人しめ、言い方を変えれば大人なサウンドに纏め上げたような印象すらあるが、その分の成長ぶりが感じられる安定感。あと一歩の個人的感覚は、美しきメロウなギターソロをもっとたっぷりと織り込んでさえくれれば有り難いと思う。コーラスワークにしてもリフやメロディにしてもそのまま心地良さが味わえるので、何かもう一歩メロディの音色が欲しくなってくるが、それも個人の感覚次第なので現代に於いてはこの程度が丁度良いのかもしれない。アルバムジャケットにしてもPVの衣装にしても本人たちもしっかりと70年代どころかもっと古き良き時代へと望郷を見ているようで、狙っているようでもあり自然にそこに行き着いたようでもあり、大英帝国の伝統をこんなところできちんと継承している姿に頭が下がる。なかなかシーンで存在感を出すには時間がかかりそうだが、美しき荘厳なムードもあり、普通にキャッチーに聴けるハードロックもあり、大英帝国の誇りとばかりに爪弾かれる楽曲もあり、まだまだ奥の深さは出せそうな雰囲気もあるので古き良きハードロックの好きな方には何度か挑戦してもらいたい作品、バンド。特に中盤以降からがハマりやすいのでアルバム全編をじっくりと舐めてもらいたい。

古き良きを好きなリスナーは大半がそれなりに歳を取っている人が多いと思うが、歳と共に新しきを吸収する、チャレンジする姿勢に陰りが見えてくる人が多いのも事実。今更新しいのを聴いても相当好きになれば別だが、そこに至らない、至る前にそれなら元々の70年代のバンドを聴いてた方が良いだろうと思ってしまうのもある。環境的にバンド名やアルバムタイトルさえ分かればYouTubeあたりでちょこっと探せば聴けてしまうし、それでどこか満足してしまうだろうから何度も何度も聴かなくなるし、そこまでハマらない場合も多い。果たしてそれで良いのか、良いか悪いかでもないので、そうなってしまう傾向は歳のせいとして、どこか勿体無いのではないか、と思うようにもしているし、今の時代のサウンドで聴けるならその方が聴きやすいだろう。ただ、それでもやはり何度も手が伸びるバンドやアルバムはそこまで多くないのは確か。悩ましい。
Wytch Hazelは前作「II: Sojourn」があまりにもWishbone Ash的なジャケットとサウンドだったので印象に残っていたが、アマゾンで新しいアルバムのジャケットを見てバンド名見て、どこかで見たような、と言う印象だけで聴くまでに至らずだったが、先日ようやく耳にした。そこでこのバンドってそういえば前作「II: Sojourn」があのジャケットだったバンドか、と気づいてじっくりと聴き直していたが、2020年秋に三枚目のアルバム「III: Pentecost」をリリースしており、なかなかの好評を博していたようなので頼もしい。そんな期待感もあって冒頭から聴いているが、一発目からガツンとは来ないのもこれまた大英帝国らしいアルバム作り。そもそも大英帝国ハードロックそのままを代表するかのような音が特徴的でありつつ、 Wytch Hazelとしての特色は正直言って書き辛い。今更際立った音色や作風と言うものでもないからだが、言うならば70年代の大英帝国ハードロックをもっと洗練した味わいで、少々キャッチーさも加えた風味のある聴きやすいハードロック、と言えるか。ドラムの音はあと少しだけ抜けてくれればもうちょっとカッコ良く収まりそうだし、ギターの音もあと少し太めならハードロックでグイグイ引っ張られそうなのにやや線が細めに出されているし、ベースラインももうちょっとウネッてくるとドライブしまくるが、そこでルート音で鳴らしてくるか、というような面もあり、ボーカルのメロディセンスは卓越ながら熱唱型とは異なる、まさに英国風味な味わいの声質で無理しない聴かせ方と、どこを取ってもあと少し、と言う面があるところがツボ。その微妙な線で纏められたサウンドはどこからどう聴いても湿っぽいブリティッシュハードロックそのままの音で、しかも70年代風味は大いにあるものの、しっかりと現代的エッセンスが練り込まれているのは当然か。その聴き方に慣れると本作「III: Pentecost」はかなりの名盤の装いと気づくだろう。インパクトある楽曲は見当たらないが、どの曲もじっくりと煮込まれた味わい深いエッセンスがたっぷりと詰め込まれ、それがしつこくなく抜け出して来るサウンドは狙っても出せない風味。さすが大英帝国ロック。
前作「II: Sojourn」が結構ハードロック寄りに振っていたのもあってか、本作はその意味ではやや大人しめ、言い方を変えれば大人なサウンドに纏め上げたような印象すらあるが、その分の成長ぶりが感じられる安定感。あと一歩の個人的感覚は、美しきメロウなギターソロをもっとたっぷりと織り込んでさえくれれば有り難いと思う。コーラスワークにしてもリフやメロディにしてもそのまま心地良さが味わえるので、何かもう一歩メロディの音色が欲しくなってくるが、それも個人の感覚次第なので現代に於いてはこの程度が丁度良いのかもしれない。アルバムジャケットにしてもPVの衣装にしても本人たちもしっかりと70年代どころかもっと古き良き時代へと望郷を見ているようで、狙っているようでもあり自然にそこに行き着いたようでもあり、大英帝国の伝統をこんなところできちんと継承している姿に頭が下がる。なかなかシーンで存在感を出すには時間がかかりそうだが、美しき荘厳なムードもあり、普通にキャッチーに聴けるハードロックもあり、大英帝国の誇りとばかりに爪弾かれる楽曲もあり、まだまだ奥の深さは出せそうな雰囲気もあるので古き良きハードロックの好きな方には何度か挑戦してもらいたい作品、バンド。特に中盤以降からがハマりやすいのでアルバム全編をじっくりと舐めてもらいたい。
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